セロハンテープって何だ?
○解説
物を貼り合わせる際に欠かせない存在がセロハンテープ(またはセロテープ)。今回はセロハンテープの構造や歴史についてご紹介します。○セロハンテープの構造
セロハンテープは、約0.05mmという薄さで出来ていますが、なんと4層から成り立っています。はく離層 | 粘着剤をはじく性質を持ち、テープを引き出しやすくします。 |
セロハン | 木材パルプを原料としたフィルムです。 |
下塗り剤 | 粘着剤がセロハンからはがれないようにします。 |
粘着剤 | 天然ゴムを主原料としています。 |
この4層を絶妙なバランスで結合させることで、適度な粘着と剥がしやすさを実現しています。
○セロハンテープの歴史とセロテープ
まず、セロハンテープの中核たるセロハンですが、ご紹介した通り原料は木材パルプ。ここから得たビスコースを狭いすき間から酸凝固浴中に押し出し、薄い膜状に固めたもの。透明ですが、紙に近い特性を持ち、生分解性や高温でも寸法が変わらない耐熱性などがあります。1908年にスイスのブランデンベルガーが発明し、透明であることから包装などで好評を博しました。余談ですがセロハンの名称はもと商標名で、セルロースと透明の意のフランス語を合成した名前です。また、日本ではレンゴーとフタムラ化学で生産されています。
そして1930年、アメリカの3Mの若手エンジニアであったリチャード・ドルーがセロハンテープを開発します。これは防水性を持つ粘着テープの開発が求められる中、セロハンに下塗りの薬、そして天然ゴムと樹脂を混ぜ合わせた粘着剤を合わせることで実現したもの。スコッチブランドの製品として、当初セルローステープという名称でした。水分や湿気に強いことから、食料品店やベーカリーなどの商品梱包用テープとして普及していきます。さらに、第2次世界大戦中は軍需品関連の製品として様々な種類に発展したほか、両面テープも登場しました。
日本では戦後、GHQが手紙の封かんにセロハンテープを使用していたのですが、輸入の遅れから品不足という問題が発生。そこで1947(昭和22)年に日絆工業(現・ニチバン)に製造を依頼。絆創膏製造の技術を生かした品質の高さが認められ、1948(昭和23)年6月から「セロテープ」の名称で国内で初めて市販を開始し、その便利さによって普及していくのでした。
ということで、セロテープはニチバンの登録商標です。ちなみにセロハンテープの幅は12mm、18mm、24mmが主流ですが、これはGHQの担当者が納品の際に、1/2インチを12mm、3/4インチを18mm、1インチを24mmと定めた名残だそうです。
【参考文献・サイト】
モノ知り学ノススメ 第三巻 日刊工業新聞社
大辞林 第三版
デジタル大辞泉
ニチバン ウェブサイト https://www.nichiban-cellotape.com/
日東電工株式会社ウェブサイト(テープの歴史館) https://www.nitto.com/jp/ja/tapemuseum/history/chapter05_01.html