第18回 カラスのお話
担当:裏辺金好


1.日本のカラスの種類
 都会に住んでいて、とっても気になる存在。それは、カラス。ゴミは散らかすし、威嚇はしてくるし、時には襲いかかってくる。非常にやっかいな存在です。しかし、そんなカラスについての知識、みなさんはどれほど知っていますか? 所長は、幸いにもカラスなど都市に住む鳥についての専門家、松田道生さんの講義を聴くことができ、自分で調べた内容も含め、ここに記したいと思います。

1.日本のカラスの種類
 カラスと単純に言うけど、日本には大きく分けて次の2種類が存在。
 くちばしと体の大きさで分類されます。

  A.ハシブトガラス・・・約55cm〜57cmほど。カー、カーと澄んだ声で鳴き、東京で非常に多い。どう猛である。肉を好む。また、アジア地域にも多く生息する。(左写真)   
  B.ハシボソガラス・・・約50cmほど。ガー、ガーと鳴き、田舎で多い。木の実などを好む。また、東南アジア、オーストラリア、インド、アフリカ、アメリカ大陸以外すべての地域に生息。 

  と、いうわけで東京都で問題となっているのは、ハシブトガラスです。また、ハシボソガラスといえば、岩手県のハシボソは、木の実を走ってくる車にひかせ、それによって割ることによって、中身を食べるという話が世界的に有名です。また、北海道室蘭市のハシボソは、地面に木の実を落とし、それによって割って食べるそうです。猿もびっくり。頭いいですねえ。

2.いつから問題?東京のカラス、そして何故繁殖した?
 高杉晋作が、「江戸はカラスがうるさい」と記す。すなわち、すくなくとも幕末にはカラスが多くいたわけです。

 そして、特に問題となったのが、バブル期です。この時、生ゴミが大量に発生します。これをしめた!とばかりに、食いあさり、また大した天敵もいなかったため、どんどん繁殖してしまったわけです。何も東京に限らず、大阪や京都も同様です。また、ハトに餌をあげるのも原因の一つ。これをカラスが横取りしますし、またハトそのものをカラスが食べてしまうこともあります。

3.カラスの生態
 さてさて、肝心なのはこの項目。実を言うと、カラスは分類学的には、スズメ仲間のなのです。で、世界に100種類、日本に11種類いると言われています。その中で問題となっているのが、前述のハシブトガラス。なお、カラスの中には「渡り」をするものもいて、案外バラエティーに富んでいると言えるでしょう。また、カラスといえば黒色を想像しがちですが、白いカラスの種類もいます。ちなみにカラスの仲間としては、ムクドリやゴクラクチョウがいます。

 次に、カラスの寿命について。寿命は、だいたい10年〜20年ぐらいだそうです。実を言うと、カラスについての研究はまだ途上の段階で、よくわかっていないとか。ただし、繁殖できる年齢は3歳からとか。これが毎年子供を産むとしたら、そりゃまあすごい数のカラスが発生するわけです。ちなみに、特にハジブトカラスは夫婦仲が非常によいらしく、2羽単位で行動することが非常に多いのです。

 その次にカラスはどこで寝るか。それは、林や森の中にネグラをつくり、群になって寝ます。このネグラに入る前に、群で上空を旋回し、安全を確認します。
 さらにその次、食事について。カラスたちは、基本的に雑食です。何だって食べます。ただし、前述のようにハジブトの方が、動物性のものを好む、というかゴミに多いから食べているようです。

4,どうやってカラスは人を襲うか
 みなさん、これがすごく気になりますよね。まず、何でカラスが襲ってくるかというと、主たる原因は、繁殖の邪魔をされたくないから、威嚇するというものです。たいていの場合は、襲うよりも威嚇が主の行動をとります。5〜7月に非常によく見られます。また、その他にも巣を落としたりすると、その落とした人の顔を覚えていて襲ってくることもあります。カラスが人の顔を認識するかもしれない、というのは最近の研究で報告されています。
 で、襲いかたです。これはハシブトガラスの例。

 1.敵がくるとまずは注意してみています。 
 2.次に存在を誇示するため、カアカアと大きな声で鳴きます。 
 3.そして鳴きながら旋回して威嚇をします。 
 4.自分がとまっている木にくちばしをこすりつけ・・。 
 5.さらにとまり木の小枝を折ります。 
 6.そして、目標めがけて投下。 
 7.「カッ、カッ」などと鳴いた場合は、非常に怒っている証拠。 
 8.それでも人間が鈍感な場合や、そのカラスがヤンキーな場合は、人間の背後から、後ろ足で蹴ります。くちばしでつつかれたと勘違いする人もいますが、それは間違い。後ろ足の爪で攻撃するのです。強烈です。なお、くちばしは案外柔らかいです。所長はさわらせていただきました。

5.東京のカラスの減らしかた
 非常に難しい問題ですよね。東京都では、2001年9月に「カラス対策プロジェクトチーム」を結成。捕獲作戦とゴミ対策の両方からカラス減らしにかかりました。これは、前述の松田さんの意見も含まれています。と、いうのは、今まで東京都では毎年2000羽ものカラスを捕獲していました。ところが、全然減らず増える一方。捕獲されるようなカラスは大抵生殖能力もなく、要はマヌケガラスだとか。

 そこで必要となるのがエサ断ちです。ポリバケツにゴミ袋を入れて出してくれとのこと・・・。しかし、見たところあんまりみんな実施していないようです。それに、ハトや猫や犬などにエサをあげているお年寄りの行為が、カラスを喜ばせています。なかなか解決できないみたいです。また、カラスだけじゃありません、ユリカモメなど、他の鳥も最近問題になっています。さあ、カラス問題はいつ解決する?

 じゃ、今回のお話は以上。あと、詳しく知りたい人は、松田さんの著書「カラス、なぜ襲う」(河出書房新社)1600円を参照のこと。
 最後に、みんなカラスが黒いからというだけで、不気味に思っていませんか〜。カラスも、ちゃんとした鳥なんですよ〜。

棒