東京に棲む鳥たち
担当:裏辺金好

○はじめに
 さてさて、前回はカラスを御紹介しましたが、今度はカラス以外の、東京に棲む鳥たちをご紹介しましょう。言われてみれば、なるほど・・・というものもあるでしょう。

1.ユリカモメ
 この鳥を知らない人はいないでしょうね。そう、東京都の鳥・ユリカモメは、体が白いから一件そうは思えませんが、実はカラスと非常によく似た生態を持つ鳥なのです。まず、カラスとの共通点をご紹介しましょう。

1.雑食であること・・・カラスもそうですよね。木の実にハトの肉に・・、とお互いに両方とも食べます。
2.数が多い・・・東京都の夢の島のゴミの上を大群で飛んでいる図を覚えているでしょうか。奴らも、カラスに負けないくらい数が多いのです。昔は、海辺だけにいる鳥でしたが、最近ではなんと山にまで出没します(例:奥多摩地域)。ここまで来ると、まさに白いカラス。なお、東京都ではゴミを焼却処分に変更しました。それもあって、海から内陸へ行くようになったのでしょう。
3.集団でネグラを取る・・・夜になると、海へ帰っていくのですが、カラス同様に集団を作って寝ます。
4.人をおそれない・・・そうなんですよね。平気で人様の食品をかっさらっていったりします。困った鳥だ。
5.分解者としての役割・・・主にゴミを食べますよね。自分から食料を獲得すると言うより、魚の死体なんかを食べます。

 一方で、体長がカラスに比べると小さい。カラスが50cm前後なのに対し、ユリカモメは30cm〜40cmぐらいです。そのため、近年激増しているカラスとの戦争において、彼らは小回りを利かした戦術を採っているようです。また、近年は京都でも数千羽規模にまで増加しています。

 それから、ユリカモメは渡り鳥というやつで、冬の間に日本にやってきます。それ以外のシーズンはカムチャッカ半島など北の地域で過ごします。最近急増して、何事かと大騒ぎになったとか。

2.ドバト
 一般に、多いなあという認識があるのは、この鳥ですね。しかしこれ、実は日本古来の鳥ではありません。日本に古くからいたのハトはキジバト。古事記には、キジバトらしき鳥の記述があります。そして、続日本記という平安時代の歴史書には、シルクロードから白バトが献上とあります。このことから解るようにハトは外国から輸入されるようになったようです。食用としての価値か、珍しさか、その理由は解っていません。

 とにかく、ドバトはいつ頃からか日本に入ってくると、家や寺や神社で繁殖します。彼らは、半年もいきれば繁殖を開始します。そして近年、エサをやる人が急増したため、ドバトもその数を増やし続けています。しかし、ドバトには問題が。それは、フンによる公害(なかなかフンの汚れを落とせない)と、ドバトの70%が保持しているオウム病という伝染病の問題です。風邪に似た症状がでますが、子供や老人には猛威を振るいます。主に、ハトの口からでた物が体内に進入することで感染します。空気に溶けていることもあるので、面倒な病気です。

 そのため、広島市では、平和の象徴といてドバトを大事にしてきましたが、数年前よりドバトの数を減らし始めました。具体的には、鳩に餌をやらないように呼びかけることで、こんな単純なことでも4分の1ほどに減らすことに成功しました。
 
 なお、カラスに食われてしまうドバトも多くなっております。

3.ムクドリ
 ハシボソガラスによく似た生態を持つ鳥です。

 ただし、それより小さく体長は約24cm。体は灰褐色で、頭から胸にかけては黒く、頭上と顔には白い羽毛がまじり、幼鳥は全体に暗い褐色。スズメより一回り大きな、ややずんぐりした鳥で、オレンジ色の嘴(くちばし)と足がめだちます。

 ハシボソガラス同様、元々は農耕地に多く、昆虫や木の実を食べる雑食性の鳥です。やはり、集団でネグラを作ります。そして、ゴルフ場の増加により、数が増えてきました。ゴルフ場は草の大きさが小さく、ムクドリが餌を取るのに適しているからです。また、こいつらも人間をおそれなくなってきています。そして、都会にも進出を始め、関東では立川や前橋、津田沼など首都圏で増加中です。

4.トビ(トンビ)
 有名な鳥ですね。ピ〜ヒョロロロ〜と鳴くこの鳥も東京に棲む鳥です。鷲(ワシ)や鷹の仲間です(猛禽類)。体長は60〜70cm、翼を広げると約160cmとカラスより大きいですが、どうやら負けているようで、最近は数を減らしています。トンビがタカを産んだというように、よく馬鹿にされるかわいそうな鳥です。が、実際カラスよりもエサの捕り方などは劣っています。

 種類は全部で21種類。そのうち全長約60〜68cm、体全体が褐色で、頬(ほお)は黒っぽく、翼の下面には白斑(はくはん)があり。低山から農耕地、海岸、市街地までさまざまな環境に生息するのが、日本でもっともなじみ深い種類です。その他アメリカには、ツバメによく似た姿を持つツバメトビなんて種も存在します。

5.ウミネコ・セグロカモメ
 カモメの仲間で、ユリカモメと同じようなものです。

6.まとめ&餌付けをするな!!
 さてさて、今あげた鳥たちは、自然よりも人間によって管理された空間を好む鳥たちです。そのため、こういった鳥が増えたからと言って、東京(またはその他の大都会)もまだまだ自然がいっぱいなどど考えてしまうのは筋違いで、むしろ自然が減って人工空間が広がったと解釈すべきなのです。また、こういった鳥たちによって、その土地に古くからいる鳥たちが追い出されることもあります。決して、これらの鳥が増えることを喜ばないようにしましょう。

 そうそう、これらの鳥が増える原因ですが、1つは餌付けですね。すなわち、ご老人が朝も早くからエサをやる光景がよく見られますが、そういった行動がいけないのです。それから、もともとこういった鳥たちは雑食だったり、環境の変化に強く生命力が強いのものなのですね。ここにあげた鳥以外にも、外国からペットとして輸入された鳥が逃げ出して繁殖した物もいますが(ワカケホンセイインコなど)、そういったものは環境の変化に強い鳥なのです(弱い鳥は、船の中やかごの中で死んでますしね。生き残った鳥の遺伝子は強いわけだ。)

 また、昔は鳥を見たら石を投げて遊ぶ人がいましたが(今でもボーガンなどで動物虐待する人はいるけど)、今は動物愛護の精神で、エサをやる方がほとんどですね。昔は、飼っている動物(ペット)以外にエサなんかやらなかったそうですよ。エサをあげだしたのは、日本が豊かになってから。

 また、このエサやり(餌付け)にも問題があって、自然の状態だと、その鳥がどういったものを食べるのか解らなくなるという弊害がでてきます。また、人間と結びついた特定種ばかりが増え、生態が混乱します。ゆえに、公園等でエサをあげるのは、良くないことです!!

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