国連大学とは何?
さて、今回取り上げるのは
国連大学の話。名前ぐらい聞いたことあるでしょう?
でも、受験の時に名前を見たこともないし、いったい何の大学か不思議に思ったことはありませんか?
この国連大学、実は唯一日本に本部がある国連の機関です。
渋谷の青山学院大学の向かい側にあります。そしてこれは、下っ端の機関でなく、れっきとした世界規模の機関です。世界各地にある研究機関と連携して、
人類の存続や発展・福祉に関わる地球規模の緊急課題について日夜研究しています。ただし、大学といっても学生はいません。では、何をやっているか。無論、大学です。
大学とは、そもそも研究する場所なのです。ただし、その予算を集めるために、成果の一部を大学生に講義という形で伝えたり、人材育成に努めているのが現在の大学の姿なのですが、この国連大学は純研究機関です。ですから、入試もありません。そして、入学も出来ません。研究者達が日夜研究に励み、その成果を国連大学出版局から本として刊行されます(日本では、国立国会図書館・東京大学図書館で閲覧可能)。また、
予算は、各国政府と民間団体から拠出されています。日本からは1億ドル。いずれも寄付という形で、国連の通常予算からは出ていません。
さて、国連大学の基本方針は、国連事務総長(今ならアナンさんだ)とユネスコ事務局長が共同で任命した24人の理事による会議(理事会)で決定されます。この24人は地域代表で、アジア、中近東、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカの各地域より最低1人ずつ出すことになっています。いずれも自然・人文・社会科学の専門家で、大学教授がその大半を占めています。現在、
「環境と持続可能な開発」「平和とガバナンス」の二領域と、産業廃棄物ゼロの新しい産業社会のあり方を探るための、
「ゼロエミッション計画」というプロジェクトを推進しているそうです。
国連大学の本部が東京にあり・・と前に述べましたが、他の国連大学の機関は、フィンランドの首都のヘルシンキにある
世界開発経済研究所、オランダのマーストリヒトにある
新技術研究所、マカオにある
コンピューター・ソフト研究所、ガーナのアクラにある
アフリカ天然資源研究所の4つです。これらでは独自の「研究・研修センター」を持っています。また、各国の大学・研究機関を結ぶネットワークというのも、1種の国連大学の大きな機関です。裏辺研究所も仲間入りしたい・・。100年後をめどに頑張ります。
ちなみに、現在東京本部(主に企画・調整など統括を担当)では日米・ブラジル・スリランカなど
15カ国より80人が勤務しています。ちなみに、ここには国連広報センターも入居しています。これは、国連加盟国の全てにあります。広報センターはその名の通りの機関です。
どうして国連大学の本部が日本にあるのか。
まず、国連大学そのものの設立が提唱されたのが1969年。当時の
ウ・タント国連事務総長が「国連憲章にうたわれた平和と進歩への貢献を目的とする、真に国際的な大学を創ろう」と言います。それが、73年に国連総会で正式に決定。この時の設立委員会の事務長だったのが、
明石康さんです。そして、彼は日本誘致に成功し、こうして75年9月に国連大学本部が東京渋谷に出来たわけです。
もちろん、それだけでなく国連大学設立構想が発表されるや、日本政府が東京への誘致と大学基金への1億ドルの拠出を表明したことが影響しています。また、渋谷に出来たのは、都がその場所を無償で提供したからです。ちなみに、今の建物は1992年6月の完成です。丹下健三の設計で、何となく東京都庁に似ていますね。
国際連合大学日本語公式サイト http://jp.unu.edu/