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第34回 世論調査・アンケートあれこれ
担当:
裏辺金好
あなたは、今の内閣を支持しますか?
あなたは、今の内閣に何を期待しますか?
裏辺研究所の製品の感想を聞かせてください
・・・等々・・世の中にあふれる世論調査、そしてアンケート。しかぁし、そんな何気ないアンケートの中にも、調査者に期待される解答を求められていたり、または調査者にも「あれ?」となったり・・・。今回は、そんなお話です。
結論から言っちゃうと、世論調査の過信は、非常に危険なのです!!
でも、具体的に何がどう危険なのか・・・それを見ていこうじゃありませんか。
(なお、図はイメージです。本文とは、関係ありません)
まずは、序の口から・・。回答欄に解らないという欄があるが、これは一体何のためにあるか解ります?
1つには、無回答との区別です。まあ、これは解ると思います。しかしもう一つ、この「わからない」が多ければ多いほど、それは質問として難しいものだった、不適切だったということが判明します。また、どっちつかずの解答を誘発するような設問だったということも判明。一見、結果を見る時に重要視しませんが、「わからない」は、案外重要な回答欄なのです。
ただし、そんなことでは困る、ハッキリ色分けが欲しい。すなわち、YesかNoかだけを重視して尋ねたい場合、調査者は、しばしば「わからない」を回答欄に載せません。
調査者は、しばしば回答者に自分の求める解答をして貰いたいことがあります。そんな時に使われる手法が、この誘導質問です。例えば、こんな感じです。
例:最近行った有識者への調査で、約8割が「今の内閣は、改革に後ろ向きである」と答えました。あなたは、今の内閣についてどう思いますか?
一見、なんの変哲もない質問ですが、前文に「有識者への調査で」という例文を載せています。もちろん、内閣の問題ぐらいだったら一般の人でも答えられるかもしればいが、もっと難しい問題で「え〜、俺はよく解らないなぁ・・」というものだった場合、「有識者がそういっているのなら・・」と回答してしまうことがあるのです。また、無名の商品の意識調査に使うと効果的。「最近、この製品は<汚れが良く落ちる>と大阪で大人気ですが、あなたは使ってみたいと思いますか?」なんてね。
さらに、調査結果として発表する場合、この前文を削って紹介すれば、なお効果的に調査者が望んだ形で発表できることになります。ここらあたり、「この本を読んで涙が止まらなくなりました(38歳:主婦)」「作者の生き様は、今の私たちにないものだと思う、素晴らしかった(53歳:映画監督)」などと、くだらない本を最もらしく売ろうとする宣伝に似ているでしょうか? え、違う?(笑)
同様の質問で、もう一つ「固定概念(ステレオタイプ)」を呼び起こす質問もあります。
例:今の自衛隊の軍備増強は、中国や韓国などアジア諸国から「日本軍によるアジアの苦しみを忘れないで欲しい」という批判が寄せられています。あなたは、今の自衛隊の現状をどう思いますか?
この手の質問は、作りようによって「自衛隊の増強反対!」とか「自衛隊万歳!」など、いくらでも誘導が可能となります。というわけで、A新聞社・S新聞2社の世論調査は、はなはだ怪しいもの・・・。また、新聞社の質問の場合、同じ質問でも、A新聞から質問された場合「自衛隊反対と答えておこう」とか、S新聞社から質問された場合は「自得体は頑張っていると解答しておこう」と言った感じで、答える側も手心を加えることがよくあります。
一見、同じ質問を2つ並べただけでも違った結果が得られる場合があります。
例A: 1.あなたは今の内閣に何を求めますか? 2. 最近のあなたの経済状態はどうですか?
例B: 1.最近のあなたの経済状態はどうですか? 2.あなたは今の内閣に何を求めますか?
この様な質問の順番だった場合、Aの場合は「行政改革」とか「公務員の綱紀粛正」などとあげるのに対し、Bの場合は、自分のことと照らし合わせて考えてしまうため「景気対策」を第一にあげるなど(もちろん、大きな差はでないとは思うが)、ズレが生じることも。
これも、誘導質問の一種ですね。
なにやら、お堅い言葉ですが、これは難しい質問をする時に手がかりとなる資料や1文を追加しておくことです。 この文がないと、解らない回答が増えてしまいます。しかしこれも、どんな資料をつけるかによって、回答は大きく変わってきます。ここも、結果を公開する時には、あらかじめ与えた資料を排除すれば、世論操作が可能になるわけです。
ちなみに、これは学校で生徒に対して良く行われる。「資料を読んで・・・」などなど・・。
とは言え、難しい質問をする場合には資料添付は必要不可欠。結果を発表するときに、どんな資料を添付したのか公表してもらいたいですね。
これは、よくあるタイプ。 1で「はい」と答えた方におたずねします・・。というものです。
これの弱点は、例えば街かど100人に聴きました〜〜。なんて場合、「はい」と答えたのが10人だったとします。
すると、調査者は10人のデータしか得られないことになります。
ゆえに、枝分かれ質問をする場合は、調査対象(これを、標本といいます)を多くするか、
「はい」と多くの人が答えてくれそうな質問をすることが求められます。
裏辺研究所は・・・
この次に続く言葉を考えて、入れてください。という奴。少年ジャンプでは毎回のようにギャグネタを募集していますが、ああいう奴です。これも、調査者が予期する解答を求めようと思えば、いくらでも前文に手をつければよいです。ゆえに、少年ジャンプではギャグネタが来る・・って、当たり前だ!明示しているもん!!
まあ、結局どれも「誘導」ですね。世論調査・アンケートは、このようにして合法的に捏造されます。ですから、あまり一般の人がどう思うかなんて、考えすぎないようにしましょう。
特に皆さん、商品のセールス、宗教の勧誘などにはご注意ですよ!!