市町村合併 
 
    
    担当:裏辺金好
    
    
    
       
          石油化学コンビナートで有名な、徳山市は、「特例市」への移行を目指し、新南陽市、鹿野町、熊毛町で2003年4月に合併。周南市となった。しかし、最も渇望された合併相手の下松市は住民サービスの低下を理由に、土壇場で合併を拒否し、この合併の意味が早くも失われつつある。また、議員は特例でしばらく全員が在籍するが、もっとも他階級徳山市の報酬に合わせたため、何のための合併だと相当な非難を受けている。 
           
           なお、「周南」の地名は、昔からこの地域を表す言葉として愛用されてきたもので、これはこれで歴史ある地名である。 | 
      
    
     もう一つ、市町村合併で忘れてはいけないのが、上記の3つの市の形です。
    
     
政令指定都市は、人口50万以上(現実には80万以上、合併して誕生する市には70万人も可)で指定され、区の設置、道路の管理などの土木関係、福祉・環境関係の権限委譲が行われます。先に述べた
清水市・静岡市はこれを目指し合併します。また、もうじき
浦和・大宮・与野の3市から誕生した「
さいたま市」は指定を受ける模様です。
    
     
中核市は人口30万人以上。騒音対策をはじめ、福祉・環境関係の権限、保健所の設置権が委譲されます。
特例市は、人口20万人以上で、それからさらに権限を減らしたものです。
    
     合併を行う理由は様々ですが、こうした市に指定されることで、権限の強化とイメージアップを狙う動きもあります。
    
    
     合併時に問題となるのが、新しい市町村名です。大きな市に吸収されたり、ずば抜けて全国的に有名な市町村名が合併相手にあった場合は、それに決定しますが、そうでないと必ずと言っていいほど対立が起こります。
    
     その結果、どこからも文句が出ないように合併相手の頭文字を取ったり(明治時代に大合併が行われた際に使われた手法、その他戦後に東京の
大森区と蒲田区が合併する時に
大田区となった)、旧国名や、地域での方角を使う(例:
西東京市、ひたちなか市、さぬき市、東かがわ市、四国中央市、伊豆市、伊豆の国市)、まったく関係ない、イメージものの市名(
さくら市、あさぎり町、南アルプス市、湯陶里市)。これら地名は、それまでの歴史を全く無視したもので、制定者の知性と品性が疑われるものが大半です。
    
     一方、理想的な地名としては、さし当たり、
最も人口の多いところ市町村の名前を残す(もちろん、まず歴史の長さと全国認知度を考慮する必要)。また、
郡の名前を市にしたり、
佐渡市、対馬市のように、全島で合併し、島の名前を市にしてしまう方法。それから、
昔使われていた地名を再登板させる方法もあります(例:
あきる野市 あきる=秋留)。あきる野市は、漢字だったら良かったんですけどねえ。
    
     ちなみに昔使われていた地名というのはですね。
     関ヶ原の戦いがおわり、徳川家康によって多くの大名が転封されていったのですが、この大名達が勝手に地名を変えていった例が多いのですね。変え方は色々で、縁起の良い名前や、儒教などの文献からとった名前など色々。この時に使われていた地名を復活させるのもいい手だと私は思います。
    
     ま、そうは言っても新市名を巡っては猛烈な争いがあって、妥協点を見つけるのが難しいのが現状ですが、しかし、安易な名前だけは付けてほしくないものです。
    
     またもう一つ、「ひらがな市」は、「親しみがある」などとお偉いさん達は言いますが、はっきり言って「間抜け」にしか聞こえません。「
さいたま市」「
ひたちなか市」は、その代表格でしょう。特に、「
埼玉県さいたま市」ほど、バランスの悪い地名はありません。しかもこの地名、住民投票では「埼玉市」が1位だったのにもかかわらず、決定されてしまいました。
    
    
     そんなわけで、今回は色々と問題のある市町村合併を特集。意外に難しいものでした。ちょっと解りづらかったかも知れません。
    
     しかし、いつ貴方の住む地域が合併するか。ほとんど全国の各地域で起こっているこの問題。人ごとではありません。さらに、市町村だけでなく、民主党の道州制提唱もさることながら、青森県や岩手県など東北各県の合併構想など、いよいよ
県の枠組みを見直す動きも出てきます。今後の動きに注意してみていきましょう。
    
     なお、
http://www.soumu.go.jp/gapei/hirogapei.htmlでは、現在設置されている、全国の
法定協議会(この協議会が設置されているところは、基本的に合併が実現する)を紹介しています。参考にご覧ください。
    
    ちなみに、法定協議会とは・・
    合併そのものの是非を含め、合併に関する諸課題を話し合う組織。関係自治体の首長・職員・議員・学識経験者で構成する。
    合併方針が決まると、新設合併か編入合併か▽合併の期日▽新しい市町村名や町・字名▽役所の場所や組織・機構
    ▽事務・事業の制度統一▽議員定数▽関係する一部事務組合や公社、第三セクター、消防団などの再編・統合
    ▽税金や使用料・手数料、補助金・交付金などの取り扱い――などを決める(毎日新聞より)
    
     ちなみに国土地理協会では、今後の市町村予定と、過去10年ほどの市町村合併が紹介されています。
     今後の合併予定:
http://www.kokudo.or.jp/new/cities/
     過去の合併:
http://www.kokudo.or.jp/new/cities/sub/rireki.htm
    
    参考文献
    市町村合併 佐々木信夫著 ちくま新書
    日本の論点2002 文藝春秋
    わがまちの将来をどう描くか 神戸新聞(2002年9月4日)
    新市町名は歴史重視か住民融合か 山陰中央新報 (2002年8月29日)