カメラについて語ってみる(3) これからのデジタルカメラ

●はじめに
 カメラネタ、第3回目。
 前回はデジカメについて述べてみましたが、やはり、私が銀塩に偏っているような印象の文章になってしまいました。小学生のころから銀塩畑にいるせいか、脱却しきれていないのでしょう。これからも、どちらかといえば銀塩に偏ってしまいそうですが、ご勘弁ください。
 
●これからのデジカメ〜デザインから考えてみる〜

 さて、昨今のデジカメのラインナップは、ものすごいですね。とても短命に終わったAPSフィルムも、市場に出始めのころは、コンパクトカメラはAPS一色に染まっていましたが、その勢いを上回っています。某有名カメラチェーン店のディスプレイ(手に取って、触れるスペース)には、いまや35mm版コンパクトカメラ、APSコンパクトカメラの姿はありません。

 このようなコンパクトカメラのユーザーの大半は、ファミリースナップ専門のお父さんであったり、友達とのスナップを良く撮る学生であったりするため、
1、 出来るだけ軽く、
2、 出来るだけ小さく、
3、 簡単で、
4、 よく写る
 ことが求められています。軽く小さくといった要望は、フィルムがAPSに換わったことによって、かなり解消されました。今私の手元にあるAPSコンパクトカメラは、高さ5cm幅8.5cm奥行き2.8cmと、胸ポケットに簡単に入ってしまう大きさです。カプセル型と呼ばれる、撮影時にボディを引き伸ばすタイプですので、ホールディングバランスもなかなか良い印象です(写真:所長のデジカメ)。

 そして、デジカメは記録素子(CCD)がAPSフィルムよりも小さく、より小型化、より軽量化できるため、一気にAPSに取って代わりました。バンダイなどの大手玩具メーカーからもトイカメと呼ばれる一万円を切る商品もラインナップされ、カメラの小型化、軽量化合戦に、大きく貢献しました。余談ですが、デジタルズームを組み込んだデジカメの場合、APSのカメラサイズでは、物理的に構成できなかったような焦点距離を、カメラに持たせることが出来るようになりました。

 現在のコンパクトデジカメのラインナップを見てみると、
A、 高性能コンパクトデジタルカメラ(ボディサイズは35mm版と同等)
B、 スタイリッシュデジタルカメラ(ボディサイズはAPS並み)
C、 マクロコンパクト(手のひらサイズのイカシタヤツ?)
D、 トイカメ(実売で1万円を切る。30万画素クラス)
 といったところです。

 人気の高いのはB、Cですね。価格も、APSコンパクトなどと大差ないですし。Aは、一眼レフのサブや、クラカメマニアが『露出設定とか、オートフォーカスとか楽だし〜』といった感覚で購入されるようです。

 Dは微妙ですね。一時期はバンダイトミーからも結構なラインナップがありましたが、最近は下火です。というか、もうすぐ絶滅しそうです(笑)。まぁ、Cのマクロコンパクトが、この大きさに近く、値段も安くて高画質となれば、ユーザーが流れるのも無理は無いでしょう。

 コンパクトデジタルのデザインは、結構奇抜なものが多く、見ていて飽きません。CCDの配置が必ずしもフィルムと同様でなくても良いというところか、MINOLTADiMAGE Xのような製品もあります。各社とも、それぞれのアイディアの粋を凝らした製品を生み出していただきたいものです。


● これからのデジカメ〜デジカメ一眼レフ〜

 さて、次に、デジタル一眼レフについてですが、というか、こちらがメインです。
 現在のデジタル一眼レフのデザインには、大きく分けて2種類あります。
1、 既存の機種ボディを流用したもの
2、 新規に設計したもの
の二つです。

 既存のボディを使用することで、設計費用が浮くという利点はありますが、基がフィルムカメラなため、操作性などは別にして、デザインが悪くなりがちです。これは個人的意見ですが、NikonデジタルカメラD1Xはオリジナルベースがバリバリのフィルムカメラであるため、バックの液晶を見ると、かなり違和感があるように思います。

 まぁ、新規のボディ設計をしたとしても、デザイナーのセンスが悪ければそれまでですが。シグマSD-9、新型のデジカメにしてはかっこ悪い。性能がものすごく良いだけに悔やまれます。

 逆に、フィルムカメラとしてのデザインが賛否両論に分かれたCANONは、デジタルになって落ち着いた感があります。もっとも、メーカーは『新規設計』といっているが、デザインの基礎になったのはコラーニの設計したT90であることに間違いないでしょう。

 また、PENTAXは完全に失敗しました。現行のハイエンドであるMZ-Sは当初フルサイズCCD搭載のデジカメも平行して開発していました。が、デジタル計画は失敗、仕方ないのでフィルム版のMZ-Sを出したが、コンセプトがはっきりしていないため、デザインも中途半端な感があります。

 最後に、フィルムカメラとしていろいろ批判されているカメラについて。CANONのEOS Kiss5。前モデルまでの液晶を裏ブタに移動させた。これは、この普及価格帯一眼レフのデジタルバージョンの布石と思われています。しかし、EOS Kissでこれをやってしまったため、『CANONはMINOLTA(のα-7)の猿真似だ』という批判が。確かにそっくりなんです。まぁ、メーカーの戦略なので、一個人としてユーザーがとやかく言う筋合いはありませんが、『どこのメーカーも、まねしている部分はある』という事。裏ブタの十字ダイヤルにしても、Nikon、MINOLTA、CANONともに使っているわけだし。他のメーカーのいいところを取り入れるのは、悪いことではないと思います。ただ、今回のCANONは露骨過ぎましたけど(苦笑)。

 と、結論として、『カメラメーカーには、良いデザイナー』を入れましょう。クラシックカメラを使っていて思うことは、それ自体が、すでに工芸品であること。これは、現在のカメラには無い、大きな特徴です。このような製品を、各社に期待します。

 そして、フィルムの代わりではなく、デジタルならではの能力を引き出してほしい。たとえば、CANONは昔から防塵防滴機能を取り入れていますが、これはフィルムカメラである以上、フィルム交換があるため、完全なものにはなりません。しかし、デジタルカメラであれば、(大容量メディアを使うことを前提としてですが)フィルム交換も必要なく、単体でのマリンカメラとして開発することが可能です。使用者は限定されてしまうかもしれませんが、『デジタルならでは』という、開発コンセプトが、これからのメーカーには必要だと思われます。


● おわりに

 今回は、デジタルカメラのデザインを中心にするつもりだったのに、いつの間にかずれて来てる・・・済みません。もっと精進せねば。
 なお、意見、反論、質問のある方は、掲示板、もしくは
 yuhki7@soviet.biz
 まで是非お願いします。出来れば、メールでお願いします。あまり掲示板をのぞかないので。
 意見などをいただいた場合、次回の投稿で使用させていただきます。よろしくお願いします。

 さて、次回は、デジタルカメラと中版カメラ〜これからのデジタルとフィルム〜でお送りしたいと思います。

 それでは、また。


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