新幹線品川駅ってどーなのよ?

担当:裏辺金好


1.はじめに
 10月1日に東海道新幹線に品川駅が開業したわけですが、これに前後して私へ多く質問が来ました。
 「東京駅から近いのに、何のために必要なのか?」
 ってことですね。

 ニュースで解説はされるんですが、よく解らない人も多いはず。そこで今回は、このワタクシが開業したての新幹線品川駅へ潜入レポをかますついでに、新幹線品川駅の必要性について詳しくご説明していきます。


2.品川駅の位置と所要時間短縮効果

 さて、まずこの品川駅が置かれている状況から見ていきましょう。
 赤い線が、東海道新幹線を表しています。品川の少し上から右下へ向かうのは、新幹線の車両基地へ向かう回送線です。

 ご覧のように、東京駅から大変近く、山手線で約10分。
 本来なら果たして駅を作る必要性はあるのか?
 ・・・と言われそうな場所なのですが、問題は京浜急行電鉄の京急本線と、東京モノレール。羽田空港へ向かっております。このうち、品川乗り換えで羽田空港へ行く人が近年急増中(これについては後述)。

 そこで、JR東海は品川に東海道新幹線の駅を建設したというわけです。
 
 さて、所要時間を比較しますと・・・
 渋谷や神奈川県の川崎から品川だと、東京駅利用に比べて10分近く早く双方とも約12分の所要時間に。
 あと、六本木からも近くなります。
 ただし、新宿からだと東京でも品川でも同じ所要時間。

 また当然品川や川崎近辺から延びる路線、全てのエリアに新幹線乗り換えのための時間短縮効果が現れます。 とにかく、一分一秒を争うサラリーマンにとって、近くに駅が出来るとは便利なことです。また、東京駅は駅構内が広すぎて乗り換えに不便ですが、品川は東京駅ほど広くはなく、乗り換えが楽であるという利点もあります。

3.10月1日改正で何が変わるか
 もちろん、これだけだと「いくら一分一秒といっても・・・」と言うところなのですが、もう一つ10月1日改正によって所要時間を大幅に短縮する大きな目玉があります。

 JR東海は、「のぞみ」の大幅な増発&自由席の登場を盛んにしておりますが、もう一つ「ひかり」が小田原・静岡・浜松などの東海道新幹線主要都市に大幅に停車するようになったことです。

 「ひかり」自体の本数は半分に減りましたが、今まで大半の「ひかり」が通過していたこれら都市に多くが停車することによって、あわせて品川駅乗り換えでの所要時間は大幅に短縮することになります。また、速度の遅い100系新幹線の東海道新幹線からの引退により、東海道新幹線では全ての列車で最高270km/h運転が可能に。これもスピードアップに貢献することになります。

 まあそうは言っても、新橋駅近くの汐留シオサイト、六本木ヒルズなど、品川駅近辺自体がビジネスの拠点として大幅に発展しており、繰り返しになりますが、ここに行く人たちを中心に、品川から羽田空港に向かわないように、新幹線の駅を建設したというわけです。

 すると、わざわざ品川で新幹線の駅を素通りして遠くの羽田空港に行く・・・のは気が引けるなあ、という感情を当然多くの人が持つことになります。なお、品川駅利用客は1日約6万人を予定。初日は7万人が利用しました。東京駅を利用していた約2〜3割は品川駅に移ると言われ、東京駅名店街は売り上げが落ちると心配しているそうです。そうは言っても、定期列車で品川発着がない以上、安心して自由席に座る(確保する)ためには東京駅から乗らないと行けないので、そうそう東京駅の地位は揺るがないと思いますが。東北新幹線とかもありますし。

4.新幹線VS飛行機

京浜急行は新幹線と飛行機の双方から乗客を獲得できることになるが・・・。
 では実際、新幹線と飛行機はどのような対抗関係にあるのでしょうか。
 東京〜大阪間でみると、2001年度は新幹線が70%、飛行機が30%程度のシェアを持っています。これだけだと新幹線が圧倒的に有利なのですが、ところが、わずか5年前の1998年と比べると、新幹線のシェアは10%も下がるという深刻な問題となっています。理由としては、航空各社が通常運賃も含め、特割や超割などの大幅な値下げを実施し、さらにマイレージポイントとして、乗るたびにポイントがつく制度を導入。品川駅開業を控え、航空各社はさらなる値下げに踏み切り、新幹線よりも安くなっております。

 実は、折角「のぞみ」が270km/h、さらには300km/hで運転をはじめても、乗客数は殆ど増えておらず年によっては減少するという問題もあります。ドル箱路線と呼ばれる新幹線ですが、意外にも経営環境は厳しいのです。特に、阪神大震災で山陽新幹線が不通になった折、乗客の多くが飛行機に流れ、現在でもシェアが回復できておりません。なお、それではどうしたらよいかなどの提言に関しては、このコーナーの趣旨ではないので割愛させていただきます。

 余談ですが、ポイント制度って管理にコストがかかるから、本当は導入しない方が良いんですよ。その分値下げできるはずの金額が、管理コスト分だけあがりますし・・。

5.本当はもう一つ理由がある
 ところで、品川駅が必要な理由はもう一つあります。それは新幹線の増発です。

 品川駅の少し上から線路が分岐しているのが解るでしょうか。
 これは、前述の通り新幹線車両基地へ向かう回送路線です。

 と、なりますと現状では、東京〜品川の少し上の区間までは、大阪へ向かう新幹線の他、回送列車も走っていることになります。当然回送列車の分だけ、お客を乗せて走らせることが出来なくなります。現状では、既にお盆などの多客期の輸送に於いて増発できる列車数が限界に来ているため、品川駅を使って品川折り返しで大阪方面へ向かう新幹線を作りたい、ということです。お解り?

 ただ現時点では品川始発・終着の新幹線は設定されておらず、今後、新幹線の需要がさらに増加するのかどうか、ってところですめ。増加していけば、品川始発・終着の列車が登場するでしょう。



6.さて、品川駅はどんな感じ?
 ここからは、単なる品川駅紹介にうつります。

新幹線側の品川駅新駅ビルはこんな感じ。

デカイ駅ビルの後ろに隠れていが、新幹線ホーム上には横長く建設されたビルがある。ちなみに新幹線は1階に停車。

TOKIOを起用し、品川駅開業と10月1日からのダイヤ改正を大々的に宣伝。

南口改札口。すぐ向かい側には北口改札口があり、乗客は分散。混雑緩和に貢献することになるだろう。

10月1日に合わせ、長らくパタパタパタと板が回転した列車発車案内もついにLED方式へ。従来のLED案内より文字が大きく、更にカラフル。また、ご覧のようにホームの案内も文字が大きい。

新幹線品川駅ホームはこんな感じ。非常に明るく、また、通過列車のある21/24番線は大型のホームドアを設置。

開業初日は、大勢の人が新幹線を撮影。ただし、新大阪・博多方面の新幹線撮影者が膨大であったにもかかわらず、東京方面で撮影する人は殆どいなかった。


非常に明るい印象の改札横、みどりの窓口。
新幹線品川駅は、随所に木目調の素材を使っているのが特徴。

在来線側の品川駅舎。なお、写真奥左手のビルが新幹線駅。また、ご覧のように品川駅周辺は高層ビルが建ち並び始めた。

99年8月。0系引退直前の頃の品川駅。後に新幹線駅が出来る方向から撮影。左写真とは反対方向になる。

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