裏辺研究所

 お手軽に漢方「紫雲膏」を作ってみよう!

担当:氷川雨水
○はじめに

撮影:氷川雨水

 今回は裏辺研究所では珍しい漢方の話。
 しかも、簡単に作れるので、材料集めて、
 たまにはご家庭で実験として作ってみましょう。
 今回御紹介するのは、紫雲膏というものです。

1.紫雲膏って何?

 明の陳実功が記載した「外科正宗」にある潤肌膏をもとに、
 江戸時代、華岡青洲が考案したものです。
 キーワードは「よく肌を潤し、肉を平らかにする」
 というわけで、:消炎、止血、殺菌、鎮痛、肉芽形成促進、傷臭防止除去などの効果があります。ゆえに適用は、外傷、火傷、痔核による疼痛などの外科疾患をはじめ、うおのめ、たこ、ひび、あかぎれ、あせも、かぶれ、床ずれ、アトピーなどの皮膚疾患の時になりますね。当研究所の裏辺所長はクリームですか?と言いましたが、オロナインH軟膏みたいなもんですね。


 で・・・実際、効くんですか? と疑問の方もいると思います。
 え〜・・・。使った事がないので「さぁ?」ってところです。でも、江戸時代からあるものですし、全く効かない、ということは無いはずです。それはともかく、折角なのでたまには家庭で簡単に作ってみましょう。もちろん、材料は漢方の店などに行って自分で買ってきましょうね。


 写真の赤紫みたいな物が紫雲膏。左にあるペンは、今から作り方を御紹介して、出来た紫雲膏との大きさを比較した物です。

2.材料

 ・ゴマ油50mL  ・蜜ロウ10g  ・豚油1g  ・トウキ4g  ・シコン4g
 *トウキ・・・セリ科の多年草。生薬名では当帰で、薬用部分は「根」になります。ちなみにトウキ酒にすると、体が温まり、血行をよくして便秘に効果があるそうです。
 *シコン・・・ムラサキ科のムラサキの根。生薬名は紫根。抗炎症作用、抗腫瘍作用などがあるとか。

3.作り方
1、ゴマ油50mLを鉄製の空き缶(上部を缶切りで開けたもの)に入れ、約140℃を保って1時間加熱します。
2、加熱後、蜜ロウ10g、豚油1gを加えて、さらに約140℃を保って20分加熱します。
3、トウキ4gをガーゼ2枚で包み、内容物がこぼれないようにタコ糸で縛った後、余分のガーゼを切り取ったものを加えてピンセットで絞るなどしながら、約140℃を保って20分間抽出した後、ピンセットで取り出し充分に絞ります。
4、ガーゼ4枚で包んだシコン4gを加え、同様に約140℃を保って15分間加熱します。
5、加熱を停止し、少し冷ました後、固化する前に軟膏容器5つに分け、さらに冷まします。
これで、紫色の軟膏が出来ます。

4.考察
 で、紫雲膏というのは消炎、止血、殺菌、鎮痛、肉芽形成促進、傷臭防止除去などの作用があると先ほど説明しましたが、これらはシコンに含まれるナフトキノンα位のOH基の新陳代謝の酸化還元調節、シコニン及びその誘導体の抗炎症作用、創傷治癒促進効果、殺菌作用などが関連しているものと考えられています。

 さあ、それでは皆さん、レッツトライ!

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