カメラについて語ってみる(6) 中判カメラについて語ってみる(二眼レフ付)
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●はじめに |
●フィルムサイズの違い |
一般的によく使われるフィルムは、35mm版とAPS版でしょう。
少しカメラに詳しい方ならば、“135”という表記をご存知だと思います。これは、コダック・フィルム規格番号で、一般的に使われている35mm版をさすもの。35mm版は、画面サイズ24×36mmです。
このサイズは、ライツ社が当時の映画用フィルムを同社のカメラに用いた事が始まりです。135フィルムの上下に開いている穴(パーフォレーション)は、映写機のコマ送りの穴だったものを流用した名残ですが、この穴8個でフィルム1コマに相当するため、設計上非常に都合のよいものだったことも大きな理由です。
そして、APS版は16.7×30.2mm。
特徴はカートリッジに入っていることと、磁気データを持っており、プリントサイズなどを撮影段階で選ぶことが出来る点。また、カートリッジの恩恵でフィルム装填ミスがなくなりました。さらに、MRC(途中巻き戻し)機能を有したカメラでは、撮影途中でも感度の違うフィルムに交換できるなど、かなり便利なフィルムです。
それでは、中判カメラに使用するフィルムはというと、120、220という規格のフィルムがあります。
このフィルムの特徴は、フィルムの上下にパーフォレーションが設けられていないこと。そのため、同一規格の120、220を使用して645(60×45mm)、66(60×60)、67(60mm×70mm)、69(60×90mm)といったフォーマットが存在します。
なお、120と220の違いは、フィルムの長さで66版の場合、120で12枚、220で24枚撮影できることです。
パーフォレーションがないため、フィルム装填は少し面倒ですね。まず、カメラの背面を開けて、残っているスプール(フィルムを巻いておく芯)に引っ掛けます。その後蓋を閉めて巻き上げるわけですが、そのとき、裏面にある小窓から、フォーマットサイズによって巻き上げ量を自分で調節しなければならないのです。このとき送り量を間違えると、像が被ってしまいます!! 最近の中判は、設計段階で巻き上げ量を調節してあるものもあり、一巻上げでチャージできるものもありますが、未だに小窓チェックによるものもあるため、中判初心者は注意が必要です。
●さっそく写してみる |
TEXET NEW RUTOMATOに関して、ネットで検索してみると、「値段相応の写り」とか、「周辺部分の流れが多い」といった、あまり良い印象とはいえない観想が多かったです。たしかに、中判カメラで定価49,800円というのは破格でしょう。ダイキャスト製のボディ自体はしっかりしているのですが、外装はお世辞にも高級感あふれるとは言いにくい。皮の張り方も、接着剤がはみ出ていたりします。このあたりは、確かに値段相応だと言えます。
まぁ、カメラは外装も大事ですが、それよりも写りが大事なので、さっそくフジフィルムのPROVIA100Fを装填してみました。日頃AFのオートローディングに慣れていると、この作業もなんだか新鮮ですね。
先にも書きましたが、このカメラはフルマニュアルで、露出計も何も装備していません。仕方ないので、EOS7に50mmレンズをつけて、露出計の代わりに持っていきました。ネガフィルムであれば勘露出でも何とかなるのですが、さすがにポジでは難しいのです。
さて、家から歩いて数分の場所に、小さな稲荷の社があります。
早咲きの梅が咲いていたことを思い出して、そこに向かいました。これが、その写真です。
日陰で青みがかることはわかっていましたが、写りとしては悪くはないですね。
これはF5,6まで絞ったのですが、周辺の流れも、それほど気になるレベルではない。
むしろ、ピントの合った部分のメリハリが効いているがしっとりとした描写は特筆ものです。
同じフレーミングで、絞りを換えてみましたが、確かに絞り開放では周辺の流れが目立ちます。しかし、2、3段絞って使えばなんら問題のない描写であるし、ポートレイトなどであれば、その周辺の流れを利用した、ファンタジックな表現が出来るはずです。
なお、このAUTOMATは120フィルム専用のため、12枚しか撮影が出来ないです。“しか”と書くと、不利な点のようですが、落ち着いてフレーミングや絞りを決めて撮影するため、少ないと感じることはありません。ではもう一枚、屋内で撮ったカットをどうぞ。
二眼レフの撮影の仕方とNEW AUTOMATの正面からの写真。
●二眼レフについて |
中判カメラには、さまざまな種類があります。
今回のNEW AUTOMATのような二眼レフもあれば、コンパクトカメラを大きくしたような中判レンジファインダー、一眼レフの親分のような中判一眼レフ、スプリングカメラetc・・・。
その中でも、二眼レフというのは、少し特殊なカメラです。写真のように、前面に二つのレンズが付いているのが特徴ですが、下は撮影に、上はピンと合わせに使います。一眼レフのようにプリズムを使用していないため、像が左右逆になってしまうのです。
しかし、撮影時におじぎをする形になるため、被写体に対して威圧感を与えないというメリットがあります。今でも、ストリートスナッパーが二眼レフを使っていたりします。・・・が、ピント合せを別のレンズで行うため、近距離でのパララックスはどうしても生じてしまいます。でも、これは一眼型を使えばいいことであって、二眼レフには二眼レフの良いところがあるのだから、とやかく言うことはないでしょう。
●終わりに |
さて、いかがでしたか。最近、「京都情景写真」の方を更新していないため、その場しのぎという感もありますが、また更新したいと思います。
そうそう、2003年3月に山口県徳山市(現・周南市)で開催される、フォトエキシビジョンに私も参加します。もちろん本名で出展していますが(笑)、時間のある方はぜひ見にいらしてください。展示期間は3月7日〜16日までです。*御陰様で多くの人にお越し頂き、終了致しました。
それでは、御意見・御感想がございましたら、
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