恋愛心理学
担当:片桐隼人
雑学万歳での執筆は初めてですが、いきなりなぜか心理学。本人は全く専門外ですが、好きな分野なので色々面白いことも見つかります。そこかしこに妙な記述もあるかもしれませんが、かるーく読んでやってください。
さて、最初から防衛機能とか睡眠についてやっても眠くなるばっかりなので第一回目は恋愛です。場違いな感じもしますが、人間の心理の産物である以上、恋愛も立派な心理学の研究対象になっているのです。
恋愛の定義は人によってさまざまですが、ここでは分かりやすくするために、「性的な魅力を感じる対象に対する肯定的な感情で、強力な情動性、楽しさや苦悩、そして強力な生理的覚醒などを特徴とするもの」とします。ここで重要なのは、情動性や生理的覚醒などの特徴です。
つまり、「胸が苦しい」とか「どきどきする」とかいうものですね。これが友愛(親友との関係)と恋愛感情の一番の違いです。友人に会うたびにどきどきしていたのではたまりませんし。逆に、そばにいても眠くなっちゃうような人は恋愛対象にはなかなかなりにくい、ということです。
また、「性的魅力を感じる」というのも意味深長です。この言葉からすると、プラトニックな恋愛、いわゆる性的な干渉を伴わない恋愛はありえないのでしょうか。少なくとも、外から見る分に性的なものがなくっても、内心では性的な魅力を感じているのが通常であるようです。そうじゃないものはとりあえず恋愛とは呼ばずに友愛と定義するのでしょう。
恋愛の発生には、ハットフィールド氏により次の3つの条件が必要であるとされています。
@架空の話や現実の生活において、若い人々が、恋愛を信じ、学ぶ文化の中で育てられること
A適切な恋愛の相手がいること
B恋愛であると解釈される情動的な興奮が必要
@は、本屋を三歩歩けばラブコメにぶつかる現在の日本では、ばりばりにあてはまります。恋愛をしない(できない)人のほうがマイノリティーになりつつある風潮も感じられます。
Aはもちろん必要不可欠ですね。鏡の中の自分が一番好き、という人は別ですが。
Bの情動的興奮は、さっきの「胸が苦しい」とか「どきどきする」というものです。このBについて、「情動の錯誤帰属説」という面白い説があります。これは「原因がよく分からない生理的な覚醒、興奮がある時に、そばに異性がいると、自分が興奮しているのはとりあえずその異性のせいだと間違って思い込んでしまう」というものです。
これについて、有名な「吊橋モデル」があります。固定された普通の橋と、かなり高い所にかけられたゆれる吊橋の両方で、とおりかかった男女にアンケートをします。このとき、吊橋で、しかも異性の調査者からアンケートをされた対象は、そのほかの対象よりもずっと調査者の対する好感度が高く、アンケートの回答にもそれが表れていました。
これは、高いところの、しかも不安定な吊橋にいるためにどきどきしたり、緊張したりしているのを、そのどきどきは目の前の異性の調査者のせいだ、と間違って思い込んでしまったためだとされています。
雑学万歳の読者の諸君!愛の告白はこの応用でいきましょう!
吊橋のうえとか、大回転ジェットコースターの上とか、台風で停電になった夜とか、お化け屋敷などもお勧めです。ただし欠点があります。相手の女性(及び男性)がそれらのものが全然平気だった場合、もしくは自分がものすごく苦手だった場合、効き目がないどころか思いっきり逆効果です。ちなみに片桐はジェットコースターもお化け屋敷もダメです。論外です。
あと、考えられるものとしては、彼女(彼)のアパートの台所にこっそりゴキブリを放ち、悲鳴を上げているところに颯爽と登場し、ゴキブリを退治してなおかつ愛を誓う、というのはどうでしょう。相手も生理的に覚醒しまくること請け合いです。危機が去った安堵も加わって恋愛度は大幅にアップです。ただし退治に失敗したり、ゴキブリを放ったのが自分だというのがばれたりしたなら、関係の崩壊を覚悟しましょう。それくらいのリスクは負わねばなりません。
ずいぶん論点がずれてしまいましたが、心理学の面白さがちょっとでも分かっていただけましたでしょうか。続きはまたいつか。評判がよければ他にもネタを探してみたいと思います。心理学の分野で他にこれをやって欲しい、というものがありましたらメールなり、BBSに書き込んでください。お待ちしてます。