南北問題って何だろう?
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●はじめに |
裏辺研究所の雑学万歳を見れば、今の様々な社会の動きを理解する上での背景が解る!
と言うわけで、今回は村岡特別顧問に「南北問題」について解説してもらいました。中学校の公民なんかで少し聞いたことがあるかもしれませんが、これを読んでしっかりと思い出し、是非覚えて頂ければと思います。
1.南北問題の発端 |
南北問題というのは、大まかに分けると地球の北半球が経済的に発展しているのに対して、南半球の経済が未発展であることから生じる問題のことです。
この問題の出現は、大航海時代の欧州諸国の海外進出と、産業革命の時期に生じた技術格差に端を発します。北半球諸国、特にヨーロッパ諸国は古くから、その歴史的戦闘の繰り返しの結果、競争社会に生きのこるため、自国の経済、技術力の発展をいやがおうにもせまられ、この競争の結果、彼らの国家力は他の地域と比べ、比較的な発展を遂げることとなったんです。
そして北半球諸国は自国経済の発展や、技術力の増大により、その製造する製品は、自国内の自給率をはるかに上回る量となります。また、他国よりもより安価な製品製造を求めるため、資源確保が要求されるようになったんです。また、そこに、他国との競争に勝つために、軍国主義からなる領土拡張(植民地獲得)とが会い重なり、技術後進国であった南半球諸国へと次々に進出して行くことになりました。
一方で南半球諸国は、古くから民族主義に基づく、社会形成が行われていました。その結果、個々の社会は小さな団体として存在するようになっていました。また、民族主義が、民族間の序列化を生み、単一民族が他の民族を隷属的に支配するといった形も生まれます。一方、北半球諸国は、絶対王政や、宗教といったように、民族を超えた大国家を形成する形をとっていました。
北半球の諸国(主にヨーロッパですが)が、このような小さな国家群からなる南半球諸国を吸収することは、規模の上からも容易なことでもありました。また、民族主義の序列化が、北半球諸国の支配を容易にもしました。こうして、北半球の大諸国による、南半球側諸国に対する隷属的な支配関係が始まったんですね。
2.北半球諸国による支配 |
北半球諸国は、自国経済の発展のため、その植民地つまり、南半球諸国に対しての可能な限りの資源の搾取を行います。搾取というのは、強制的に取り上げることです。また、自国製品の消化のため、機械を使った大量生産によって生産された安価な製品を植民地へ大量に輸出しました。
このため、南半球諸国から古くから伝わっていた伝統的な産業は、機械で大量生産された安価な製品により破壊され、産業、技術発展に不可欠な資源は、自国経済に使われる前に、彼らを支配する宗主国へと集まられてしまいました。こうして、南半球諸国は経済において、北半球諸国に依存するしかなく、自立の道が閉ざされてしまうこととなったんです。
3.現代における変化 |
ですが現代に入り、この関係は大きく崩れることとなります。
第一に、経済のグローバル化が経済圏の形成を促したんです。第2次世界大戦前に発生したニューヨークのウォール街から発生した世界恐慌をしのぐため、欧米の経済国は、自国と植民地からなるブロック経済圏を形成しました。これにより、植民地の価値は増大し、また、二度の世界大戦による総力戦も、彼らの力を利用しなければならなくなったので、植民地の地位を高めることとなります。
第二に、第二次世界大戦後の冷戦構造の影響があります。今日の南北問題やこれらの各国の関係は、これが大きく関係していますね。
資本主義と社会主義陣営の戦いは、植民地経営まで手が回らなくなったので、ある種の空白期間をもたらします。その隙に植民地諸国は独立へと動き出すことになります。また、東西両陣営がその優勢を競うため、各国の独立を支援し、どちらかの陣営に引き込もうとしたことも、南半球諸国が一気に独立する動きへの形成へとつながりました。
こうして、独立を勝ち取り、自立の力を得た南半球諸国は2つの道へと進むこととなります。
ひとつは、東西両陣営のどちらかにつくことにより、強力な経済指導を受けることであり、もうひとつは、第三世界を形成し、東西両陣営の間接的な援助を受ける道です。多くの国々は、後者の道を選び、経済国からの間接的な援助を受けることとなります。しかし、この間接的な援助が、今日の大きな問題となっています。
4.現在における問題 |
間接的な援助は、広く一般庶民には浸透せず、むしろ、大商人や高級官僚といった権力者へと渡ってしまいます。このことが貧富の格差を助長させ、ひいては、相対的な経済の後退を招いてしまいました。そして権力者たちはその甘い汁におぼれ、結果的に北半球諸国に依存する体制が続いてしまいました。
この関係を見つめた上で、われわれ経済大国と呼ばれる国に生きるものは、金銭的な援助はもちろん、人的援助に重きをおき、途上国を新たなパートナーとして捉える必要があると言えるでしょう。また、途上国同士の連携に対等な立場で加わることも大切なことであると思います。