カメラについて語ってみる(7) カメラ『見せ方』について語ってみる
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1.はじめに |
2.額装の種類 |
それでは、額装について書いていこうと思います。しかし、一口に額装といっても、いろいろなものがあります。手元にある『写真・映像用品ショー』という本を見てみても、様々な額やパネルがあり、フジカラー販売から発売されている物だけでも、約100種類ほどあるのです。それでも分類すると、以下のようになります。
A.パネル |
基本的には一枚の板でできており、その板の上に直接写真を貼ります。安価で軽く扱いやすいですが、写真の印刷面がそのままになるため、傷つきやすいのが欠点です。また、接着してしまうので張り替えが利きません。しかし、湿度や温度変化によって生じる波打ちは無し。
B.額 |
ガラス、アクリル、塩化ビニールなどで写真をカバーするタイプがあり、標準的な額装の仕方です。ただ、パネルに比べて高価なんですね。特に4切以上になると、パネルの倍以上の値段になります。その代わり、ガラスなどでカバーしてあるため写真表面は傷つきにくいです。なお、温度や湿度の変化による波打ちを防ぐために裏うち用の台紙(保護用紙)を貼っておくと良いです。
C.台紙 |
パネルは木製ですが、台紙は紙でできています。
パネルは額と同様に壁に掛けることを目的とするが、台紙の場合は御見合い写真や、ちょっとしたメッセージを添えたりする場合に用いられることが多いです。もちろん、壁に掛けて使用することもあります。
D.その他 |
一時期流行った、陶器の皿やマグカップに写真をプリントするもの、布の表面に感光剤を塗布し、プリントを行うものなどがあります。額装とは言いにくいものですが、付け加えておきました。
3.単写真・組写真 |
単写真と言うのはプリント一点、一枚だけの作品で、組写真は2枚以上の写真で構成された作品のことです。また、組写真の中にも一枚のパネル(額含む)の中に小さなサイズを何枚も貼り込むタイプもあれば、四切なら四切でサイズをそろえて何枚かのパネルで構成するタイプもあります。
組写真は基本的なテーマに沿って組むことが基本です。そのため、撮影の段階から何枚で組むか、表現が重ならないか、色の配分はどうか等考えておくことが望ましいです。何枚かいい写真があるから・・・という考え方では組み写真をつくることは難しいですよ。また、一枚で見せればインパクトを与えることのできる写真であっても、同じ表現が続けば飽きてしまうものです。
さらに、誤解している人が多いですが、単写真ではインパクトの弱いものを寄せ集めたものではありません。撮影者の撮影意図をより明確にするために組写真という手法を用いているだけであって、一点一点を見て良いと思えるものでなければならないはずです。
4.展示会 |
美術展やコンテスト、個展といったものがありますが、不特定多数の人に自分の写真を見てもらう機会が展示会です。
私もいろいろな展示会を見に行きましたが、美術展やコンテストには、様々な出展者がいるため感じることはできませんが、個展については数パターンに分けることができるのではないかと感じます。
大まかに分けて2つ。
疲れる個展と疲れない個展です。
これは、それぞれにいい意味と悪い意味の二つがあるので、合計4つとなります。
A.良い意味で疲れる個展 |
配色や撮影技法などが様々で、作品一つ一つに心が動かされるもの。
その上全体の調和が取れており、いい意味で興奮し、展示会場を出た後に、心地よい疲労感を覚える個展。
B.悪い意味で疲れる個展 |
配色や技法が様々であるが、全体としてのバランスが悪く、見ていて非常に疲れる個展。
C.良い意味で疲れない個展 |
配色や撮影技法に目立ったところはないが、全体のまとまりが良く、心が落ち着くもの。最近流行の『癒し』という言葉が当てはまるような個展。
D.悪い意味で疲れない個展 |
何の感動もない個展。
大雑把ですが、このような感じです。最近は、社会の流れを反映してか「C」のような、良い意味で疲れない個展が受けているようです。
5.まとめ |
写真はどこを完成とするか、非常に難しい。撮影したフィルムを現像したところで完成するのか、それをプリントしたものを完成品とするのか、それを額装したものを完成とするのか、それを飾った展示会を完成とするのか、いや、それすらも未完成であるとするのか、考えていけば限がないのは事実。『芸術とはそういうものだ』と言ってしまえば、それで終わりかもしれません。しかし、それではあまりにも短絡的過ぎるでしょう。
まぁ、その答えは各々が出せばいいことであって、私の答えが正解というものではないですが、私が作品を創るときにいつも心に思っていることは、『自分以外の誰か一人でも感動させることのできるモノ』ということです。自分はその作品を創る工程を知っており、その途中で苦労したりしているために、いっそうの愛着があります。だから、つい贔屓目に見てしまいますが、全く関係のない第三者が見て、その作品に対して何らかの感情を抱いてくれれば、それは凄いことなのです。
・・・なんとなく、偉そうなことを書いてしまいました。
6.おわりに |
さて、今回の『見せ方』について、いかがでしたでしょうか。私自身、まだまだこれから学んでいかなければならないことばかりなのですが、パネルの選択にも、細心の注意を払っていけば、それだけ良い物ができるものです。結構軽く見られがちな額一つにしても、プリントとの調和などを考えていけば、悩んだりするものです。皆さんも、ちょっといい写真ができたら、そこで終わりにしないで、次のステップに進んでみられたらいかがでしょうか。