隣人達からのちょっとしたご招待
(下)惑星を知って観測しよう!
今回は、各惑星の概観を眺めていこう。地球の外側にある惑星について。
まずは少し難しいが基本用語を見たあとで、各惑星について、ちょっとした説明と観測方法を記す。さて・・。
地球から見てその惑星が太陽と同じ方向にあるときを合とよび、逆に太陽と正反対の方向にあるときを衝という。
合から合、衝から衝までの時間を会合周期と呼ぶ。外惑星は会合周期を通じて太陽の年周運動と同じ向きに天球上を動き、この動きを順行という。ただし衝の前後には逆向きの動き(逆行)を示す。観測には真夜中に見える衝の時の方が良い。
内惑星(地球よりも内側を公転している惑星)の場合には衝がなく、合には外合(太陽の向こう側にあるときと内合(太陽の手前側にある時)の二つが存在している。地球から見るといつも太陽の側にあるが、その太陽からもっとも離れるときを最大離隔と呼ぶ。
観察時は、太陽の光が邪魔になるので、太陽が沈むころに惑星がまだ空に出ている時を狙って観察すればよい。つまり、最大離隔の時が観測の好機である。
理科年表、天文年鑑などの天体暦からその年の各日の惑星の赤道座標が記されるので、それらの資料を参考に観測計画を立てる。詳しい観測をするには天体暦の中の惑星暦を調べるといい。太陽光野方向や惑星面の緯度が示されている。
惑星観測の望遠鏡の最適倍率を以下に示す。
表1・惑星観測の望遠鏡の最適倍率
口径(cm) |
5 |
10 |
15 |
20 |
倍率(倍) |
80 |
150 |
200
|
300
|
赤道儀の極軸を精度よく合わせ、運転時計または赤道微動による追尾だけで十分追尾できるようにしておく。あるなら観測者が楽な姿勢で見られるように天頂プリズムを用いる。椅子はあるといい。惑星を視野に入れ、ピントをよく合わせる。視野の東西南北を確認する。
天体望遠鏡の像は倒立していることに注意。さらに接眼部に天頂プリズムを用いると左右が逆の鏡像となる。夜間観測の時にはスケッチ用紙を照らしたりするのに赤セロハンつきの懐中電灯を用いる。惑星の観察はその高度がもっとも高くなるときが、シーイングがよく、観測に適している。あと、惑星を観察しているとごく短い時間だけ像が良くなることがあるので辛抱強く観察しよう。
太陽に一番近い惑星。太陽の周りをぐるぐると回っている。そのため、パシリの神様(失礼!)マーキュリーの名が付けられた。地球から見ると太陽を中心として東に行ったり西にいったりしているように見える。下記A)の理由によって、もっとも好条件であっても日の出前または日没後約一時間半ほどしか見ることはできない。地球から眺めた明るさは三等から−二等まで変化する。
A) 太陽からもっとも離れているとき・・・太陽からの離隔が18°~28°にしかならない。しかも、地平線高度はわずか20°しかなく、地平線付近の見通しが良い場所で快晴の日でなければ観察はしづらい。
B) 会合周期は平均116日
地球から見ると太陽から47°近くも離れている。日の出前や日没後三時間もの間、観察することができる。明るさは−4等半に達し、白昼でも肉眼で明瞭に眺められることもある。昔では一般に夕方見える金星と晩天に見えるものとは別々のものと考えていたため、明けの明星と宵の明星など別々の名前が付けられている。会合周期は584日。
今までの惑星は中学校で「内惑星」と教えられている惑星で地球の内側を公転しているために、真夜中に見ることができない。この火星からはそれとは逆に地球の外側を公転している惑星で真夜中にも見ることができる。火星の会合周期は780日、約二年二ヶ月という長さで実は惑星中もっとも長い周期だ。公転の軌道が楕円である為に、対衝のときにはものすごく地球に接近する(近いときで5600万km、遠いときで1億100万km)。逆に合のころには約4億kmも地球と離れてしまう。それに変動して明るさも−2.8等から1.6等までも変化する。夜空を移動する早さも地球に近い時は大変早く、地球から遠いときは大変遅い。
火星の表面をがんばってみれば火星人が作ったという運河がみえるかも(もちろん心眼)。冗談はさておき、火星にも生物がいるかもしれないということが真面目に考えられているのは事実。最近有名になった火星からの隕石の中の生物の痕跡というのは根拠薄弱であるが、地球の地底深くにも生物がいることがわかり、火星に生物がいる可能性も十分考えうる。火星人はさておき。
「太陽になり損ねた星」などと巷では言われている太陽系最大の惑星。というか、「3001年宇宙の旅」というS.F.小説では見事ノヴァ化してルシファーという恒星になってしまっている。原因を考えると実際にはなんないであろう。
そのしみのように見える大赤斑が地球三個分の大きさというからたいした大きさである。会合周期は399日。夜空での動きはきわめて遅く、約一年でようやく黄道上の星座のひとつを通過する。木星の直系は地球の約11倍であり、衛星は合計12個まで発見されている。そのうち大きな4つはガリレオが発見したので「ガリレオ衛星」と呼ばれ、双眼鏡でも眺めることができるほど明るい。
そのうちの衛星の一つ、エウロパの氷の下には生物がもしかするといるかもしれない。エウロパは氷に覆われており、それらの摩擦によって氷のしたに海が存在する可能性が高い。木星の表面は液体アンモニアの雲ですっぽりと包まれ、その雲の層が見事な縞模様となって木星の顔を飾っている。ちなみに雲の温度はー130°と推定されている。
肉眼で普通に見ることのできるもっとも遠い惑星。太陽からの距離は14億km(地球は1.5億km)、29年あまりの歳月をかけて太陽の周りを公転し続けている。黄道上の一つの星座を2年半の期間で通過する。明るさは一等級、鈍い黄色の光で輝き、瞬きをしない。土星と間違えやすい星座はふたご座のポルックス(色が似ている)、しし座のレグルス(黄道上にあるため)、スピカ。
・天王星、海王星、冥王星、第十番惑星などのおまけの惑星達。
私たちでは、見づらい太陽系の惑星を集めてみた。うち後者2つ、特に一番最後については議論紛糾といったところか。天王星は光度六等級(肉眼で見えるかあ!?といったところ)、海王星は光度八等級、冥王星は15等級(心眼で見てください)、第十番星・・・一切不明。ただ、向かしこいつのせいで6500万年前に、地球に隕石が降ってきたというまじめな説が唱えられています。今は・・・知らん。第十番惑星は太陽系からの距離が二倍あり、土星の三倍の大きさという人もいるそうです。信じる人は救われる・・・かもしれない。
惑星を探してみよう!
私達にとって月と太陽の次に身近な天体である惑星(省地球)のうち、太陽系内において肉眼で観測できるのは、水星、金星、火星、木星、土星の五つです。これらの惑星の特徴は以下の通りです。
I. たいてい一等星以上の明るさ。金星は−II. 4等星以上!
III. 火星以外は黄色、または金色の光を放っている。
IV. 地平線の近く以外では、瞬きをしないか、恒星に比べて緩やかな瞬き方としている。
V. 恒星の間を縫って、日々少しずつ西や東に運行していく。
VI. 必ず黄道付近を運行する。そのため黄道12星座と、へびつかい座の南部やくじら座の一部に侵入し、そのほかの代表的な星座には侵入しない。
○おまけ(!!!!・・・惑星と間違えられやすいもの |
アンタレス(さそり座) アルデバラン(おうし座)・・火星と間違えられるらしい。 ペテルギウス(オリオン座)
カストルとポルックス(ふたご座) レグルス(しし座) スピカ(おとめ座) フォーマルハウト(南の魚座)
で、肝心の位置であるが・・・・。理科年表もしくは天文年鑑で調べると良いかと思います。
前回()と今回の参考文献
僕らの天体観測 天体観測シリーズ(2) 昭和55年6月15日 佐伯恒夫著 恒星社厚生閣
宇宙を観る1 −現代天文学実験 横尾武雄編 1985年5月25日初版第一刷発行 恒星社厚生閣発行