宮尾城は、現在の宮島フェリー乗り場前にあり、厳島神社のすぐそばでもある。戦国時代、毛利元就は大内家の陶晴賢と戦うにあたり、陶の大軍を狭い厳島に誘い込むためにこの城を築いた。この場所は、交易船などが行き交う、大野水道をにらむ好位置であり、厳島を支配してきた陶晴賢にとっては、大きな脅威であったのである。
　結果、戦力差では陶氏の方が上であったが、宮尾城を攻略しているうちに背後から毛利勢に奇襲攻撃を受け、陶晴賢は敗北し、果てるのである。
　遺構は殆ど無く、また小高い丘であるため城跡という感触は殆ど無い。しかし、非常に行きやすい場所であるので、宮島を訪問した際には、歴史が大きく動いた場所として少し登ってみると良いだろう。
（写真・本文：裏辺金好）