第96回 民主党政権は日本をどこに向かわせるのか
○今回の年表
2009年 | 9月16日 | 鳩山由紀夫内閣が発足。 |
2010年 | 6月8日 | 菅内閣が発足。 |
6月13日 | 小惑星探査機「はやぶさ」が地球帰還に成功。大気圏再突入により燃え尽きる。 | |
9月7日 | 尖閣諸島中国漁船衝突事件。 | |
2011年 | 1月14日 | チュニジアでジャスミン革命が発生。以後、アラブ諸国で民主化運動が発生。独裁政権の崩壊が相次ぐ。 |
3月11日 | 東日本大震災が発生。マグニチュードは9.0で、地震と津波で犠牲者多数。また、福島第一原子力発電所が被害を受けて原子力事故が発生する。 | |
9月2日 | 野田内閣が発足。 | |
10月 | タイで過去50年間で最悪の大洪水が発生。国土の3分の1が水没、8割が被災。 |
▼鳩山由紀夫内閣(第93代総理大臣)
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▼菅直人内閣(第94代総理大臣)
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▼野田佳彦内閣(第95代総理大臣)
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○閣僚名簿・首相官邸ホームページ:野田内閣を参照のこと。○主な政策・震災からの復興と原発問題への対応・TPP加盟への取り組み ・消費税率引き上げ決定 ○解説野田佳彦(のだよしひこ 1957年〜)は千葉県の出身。民主党代表選挙の決選投票で逆転勝利を収めた後、親・小沢VS反・小沢で党内抗争に明け暮れていたのを踏まえ、閣僚人事や政党内の人事でバランスを取ることで、党内融和を進めることから政権をスタートさせます。 野田政権では、菅政権に引き続いて震災・原発対応に取り組んだ他、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加などが課題となりました。TPPは、加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃することなどが特徴で、様々な国と一括して協定を結ぶのが特徴で、これは次の安倍政権下でも交渉が継続されています。 国内の経済面では急激な円高が進むも有効な手立てはなく、また韓国メーカーや中国メーカーとの競争が激しさを増す中で、以前から進展していた製造業の海外移転が加速化するなど、日本の景気に明るい兆しは見えませんでした。 また、消費税率を現行の5%から10%まで段階的に引き上げる消費増税関連4法案を含む社会保障・税一体改革関連法案を閣議決定し、国会に提出。2012(平成24)年8月10日に法案は成立しますが、民主党内からは小沢一郎を中心とするグループなどが大量造反し、離党。 一方、自民党や公明党などによる衆議院解散の声が強まる中、8月8日に社会保障・税一体改革関連法案を成立させた上で「近いうちに信を問う」ことで合意するも、時期については明示せず批判の声が高まる中で、11月14日、国会での党首討論で自民党総裁の安倍晋三に対し、当国会中の議員定数削減法案可決に協力することを確約するなら、同月16日に衆議院解散を行うと明言。 突然の解散表明は、少数の人間しか事前に知らされておらず大きな波紋を呼びますが、表明通りに衆議院は解散され、12月16日に行われた第46回衆議院議員総選挙で民主党や、小沢グループを含めて解散前に民主党離党した議員たちを含めて大惨敗を喫し、野田内閣は退陣。同時に民主党政権も崩壊し、政権は再び自民党・公明党による連立政権へ戻りました。 ○尖閣諸島・竹島問題さて、野田政権下では尖閣諸島のうち、これまで民間人が所有し、国が賃借していた魚釣島、南小島、北小島の3島を購入し、国有地としました。これは、中国政府が日本による実効支配を打破すべく、領海侵犯を繰り返し、ついには2010(平成22)年9月7日の尖閣諸島中国漁船衝突事件等も発生する中で、東京都の石原慎太郎知事が寄附金を募集し、最終的には14億円以上の募金を集める中で、地権者からの購入の流れに動いていたものを、野田政権がストップをかけて、国による買収に踏み切ったものです。 この動きに対して中国政府は当然のように激怒の姿勢を見せ、現在に至るまで尖閣諸島への領海侵犯を繰り返し、日本を挑発しているほか、この時は中国国民の反日感情を徹底的に煽り、中国国内で暴動も発生。日本製品への締め付けを強化するなど、日本に対して強硬な姿勢をエスカレートさせています。 一方、韓国が占拠している島根県の竹島(韓国名:独島)では、支持率に伸び悩み、親族や側近の不祥事が相次ぐ李明博大統領が、韓国の現職大統領としては初めて、竹島を訪問。続いて天皇陛下に対して「日王は韓国に来たければ、韓国の独立運動家が全てこの世を去る前に、ひざまずいて謝らなければならない」と発言し、それまで韓流ブームに沸いていた日本における韓国のイメージは急落。 どこまでが民主党政権の責任かは議論の分かれる点ではありますが、結果的に民主党政権時代からは特に、中国や韓国による挑発行為を次々と招くことになりました。
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