生命三十六億年(9) ペルム紀

○今回ご紹介する時代(赤色部分)

累代
開始年代
顕生代 古生代 ペルム紀  2億9900万年前〜
    石炭紀    3億5920万年前〜
    デボン紀    4億1600万年前〜
    シルル紀    4億4370万年前〜
    オルドビス紀  4億8830万年前〜
    カンブリア紀  5億4200万年前〜

○ペルム紀とは

 ペルム紀の名前の由来は、1841年にイギリスの地質学者マーチソンが、この時代の地層がよく見られるロシアのウラル山脈西部の都市ペルミにちなんで名づけたものです。また、二畳紀と呼ばれることもあります。二畳紀とは、下部と上部、二つの地層によって表される時代という意味に由来します。

 この時代は超大陸パンゲアと、爬虫類の繁栄、そして何よりもペルム紀最後にある史上最大の大絶滅が特色です。気候は暑く、特にパンゲア南部の内陸(ゴンドワナ)は海風が届かないこともあって、大変厳しい環境だったようです。コンピューターモデルでは、年平均2mm以上の雨は無かったようで、最高気温は45度にも達したそうです。

 その一方、パンゲアの一部地域では気温差が夏の25度から冬のマイナス25度という寒暖の差が非常に厳しいところもあったそうです。

○ペルム紀の動物

 この時代の動物として最も有名なものは、一般的に哺乳類型爬虫類と呼ばれるグループです。その名のとおり、何らかの点で哺乳類と似通っているもので、例えば背中の帆を使うという違いはあるにせよ、体温調節を行っていたディメトロドン、半直立の姿勢を取るなど、現在の哺乳類の祖先により近いディキノドンです。厳密に言えば、前者は盤竜類、後者は獣弓類というグループに分類されます。

 哺乳類型爬虫類というのは俗称であり、獣弓類だけを指すこともあります。

 また、ワニと恐竜の祖先である主竜類が登場しました。

○デボン紀の動物(陸上)


ディメトロドン (北九州市立 いのちのたび博物館にて)
アメリカ テキサス州から出土 *レプリカ


セイムリア (世界の巨大恐竜博2006にて)
頑丈な前後の足を持つ両生類で、爬虫類の祖先に近いものです。
この当時、両生類は多様化し、陸上生活により適応しています。

○ペルム紀の動物 (海)


コエラカントゥス (世界の巨大恐竜博2006にて)
手足のようなひれを持ち、陸生脊椎動物の祖先に近い形状を持っています。

オルサカンサス (北九州市立 いのちのたび博物館にて)
軟骨魚類の一種。

アカントーデス  (国立科学博物館にて)
棘魚類の一種。棘魚類は、ペルム紀を最後に姿を消します。

パラムブリュプテルス  (国立科学博物館にて)
条鰭魚類の一種。

ディティモピゲ (国立科学博物館にて)
三葉虫の一種。このペルム紀で三葉虫は姿を消しました。ところで、随分と小さいですな。

メタレゴセラス(左) エオティニテス(右) (国立科学博物館にて)
アンモナイトの一種。

スピリファー (国立科学博物館にて)
腕足類(二枚貝のようなもの)の一種。この時代で腕足類の多くが姿を消します。

パラフズリナ (国立科学博物館にて)
宮城県気仙沼市から発掘。

フズリナの断面モデル (国立科学博物館にて)

○ペルム紀の植物

 シダ種子類とヒゲノカズラ類が主に繁栄していました。それ以外、植物に関してはこれと言った特色はありません。



ペコプテリス (世界の巨大恐竜博2006にて)
ペルム紀のシダ植物の一種。
 

○ペルム紀末の大絶滅

 この時代の最後に、史上最大の大量絶滅が起こります。その被害は四肢動物の50〜60%(種単位では90%)、海生動物の半数(種単位では95%)の絶滅というものでした。その中には、古生代を代表する種であった三葉虫、フズリナ、四放サンゴが絶滅。また盤竜類、両生類のいくつものグループも絶滅。また、多くの獣弓類や腕足類(二枚貝のような動物)、ウミユリも姿を消しました。

 その一方で、軟骨魚類のうちサメの仲間、一部の有孔虫類(微生物)、二枚貝類や巻貝類の被害は軽微でした。

 この大絶滅の原因として考えられているものは、この当時に起こった火山の大噴火が有力です。火山噴火の結果、大量の温室効果ガスが放出されて地球温暖化が進行。また、海ではメタンガスが海底から放出され、酸素が殆ど無い状態になりました。これにより、陸上、海中ともに生物の生息環境が極めて悪化し、大量絶滅につながったと考えられています。

 このような大規模な火山活動は、地球の外核によって暖められたマントルが上昇して地殻に衝突することで起こると考えられています。この時代の終わりには、それがパンゲアの真下にぶつかったと考えられています。

 ともあれ、このペルム期末の大絶滅は生命史上にとって大きな転機となります。古生代と中生代がここで分けられるのも、これが大きな要因です。

○ペルム紀の大陸


 パンゲアは石炭紀後期から拡大を続け、こんなに大きくなりました。北方では、以前あったローレンシア、アンガラランドなどが1つになろうとしており、ローラシア大陸の形成に向かいます。この傾向は三畳紀末まで続き、やがて再び分裂を始めることになります。


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