生命三十六億年(10) 三畳紀

○今回ご紹介する時代(赤色部分)

累代
開始年代
顕生代 中生代 白亜紀 後期    9960万年前〜
      前期  1億4550万年前〜
    ジュラ紀 後期  1億6120万年前〜
      中期  1億7560万年前〜
      前期  1億9960万年前〜
    三畳紀 後期  2億2870万年前〜
    中期  2億4590万年前〜
    前期  2億5100万年前〜

○三畳紀とは

 三畳紀の名前の由来は、南ドイツでこの時代の地層が、下から赤色砂岩層、海成石灰岩層、陸成砂岩層の三つに分かれることによるもので、英語のTriassic periodより、トリアス紀と日本語で書かれることもあります。この時代は、ペルム期末の大量絶滅で生き残った生き物が多様性を回復し、今までとは別の生物層が出来上がります。気候自体は終始温暖かつ乾燥で、海水準は常に上昇し続けていました。

 なお、ペルム紀からパンゲアと称されるように一つにまとまってきていた大陸は、この時代の最後に分裂をはじめ、徐々に我々が現在住む世界の形になるように移動していきました。もちろん、大陸プレート自体は常に変化し続けていますが・・・。

○三畳紀の動物

 この時代の動物は、爬虫類が多様化します。ペルム期末の大絶滅を生き残った哺乳類型爬虫類から哺乳類が登場し、それとは別の爬虫類のグループからワニの仲間、カメの仲間、そして恐竜類、さらにワニ類に近い仲間から、空を飛ぶ翼竜類が登場しました。なお、哺乳類型爬虫類と哺乳類のことを単弓類、それからワニ類、恐竜類、翼竜類のことを双弓類と分類します。

 爬虫類の細かい分類については、あまり紹介してきませんでしたので、ちょっと面倒くさい話に見えるかもしれませんが、ここで簡単に触れておきたいと思います。



三畳紀の動物 (地球最古の恐竜展にて)

○単弓類

 単弓類とは、目の後ろに穴が一つある爬虫類のことです。さらに細かく分類すると、
 (1)盤竜類・・・初期の哺乳類型爬虫類。石炭紀後期に登場し、ペルム紀に大繁栄を経て絶滅します。
 (2)獣弓類・・・半直立姿勢が出来たり、頭骨などが発達した哺乳類型爬虫類。ペルム紀に登場。
 になります。

 さらに、この獣弓類の中でも代表的なものが、ディキノドン類キノドン類で、それ以外の獣弓類はペルム紀に殆ど絶滅しています。このうちキノドン類について解説しますと、犬歯とほかの歯が分かれている異歯性を持ち、骨質の二次口蓋(鼻と口を隔てる骨)を持つことで、食べながら呼吸することが可能となったのが特徴。そして多くは体毛があったと考えらています(ただし、明確な証拠は見つかっていません)。



エクサエレトドン (地球最古の恐竜展にて)
キノドン類の1種で、三畳紀後期に棲息。

 そして、我々哺乳類の祖先は、このキノドン類から三畳紀に分化し、他のキノドン類は三畳紀末から衰退してジュラ紀に絶滅。つまり獣弓類で今も生き残っているグループは、我々哺乳類だけとなりました。

 ということで、進化の系統を分岐学で見ていきますと、我々哺乳類というのは、実は魚類から分化した両生類・・・から分化した爬虫類・・・から分化した哺乳類なんてことになります。

 ということで早い話、我々人類は二本足で歩く魚類と表現しても間違ってはいません。

○双弓類

 双弓類とは、目の後ろに穴が二つある爬虫類のことです。さらに細かく分類すると
 (1)鱗竜類・・・りんりゅうるい。有鱗目(トカゲ類とヘビ類)などが所属。このうちトカゲ類とヘビ類は、現在の爬虫類の種の95パーセント以上を占めています。首長竜類も、この仲間に分類されますが、別に広弓類として同格に扱われることもありました。
 (2)主竜形類・・・主竜類(恐竜やワニ)、翼竜類などが所属。
 (3)魚竜類
 などになります。

 さて、なんと言っても三畳紀を代表するのが主竜類。この主竜類は、さらに3つのグループに分かれます。
 (1)恐竜類・・・恐竜のほか、恐竜から分化した鳥類も含みます
 (2)クルロタルシ類・・・現世ワニ類の祖先とその仲間
 (3)翼竜類

 ということで、三畳紀はいよいよ恐竜が登場します!(発達するのは三畳紀後期から)
 では、これから三畳紀の動物たちについては次のページでたっぷりとご紹介します。

○三畳紀の植物

 ペルム期の大絶滅を経た後、三畳紀には植物相が回復に向かいます。三畳紀中期にはシダ種子類、ディクロイディウムを中心とする植物相へ発展しますが、三畳紀末にこの植物相は絶滅。針葉樹林が地球の歴史上、初めて優勢となります。



三畳紀の陸上 (国立科学博物館にて)


バイエラ (国立科学博物館にて)
 南アフリカから発掘されたイチョウ類の葉。この時期、イチョウ類も繁栄します。
 今のイチョウの葉とはかなり異なった形状をしていますね。現代のイチョウは、都市部でも街路樹にされるだけあって、大気汚染に耐性があります。ペルム期末期の大絶滅から生き残った環境への適応能力は、今でも健在のようです。

○三畳紀末の大絶滅

 ペルム期末期から回復していた生物相ですが、三畳期末に再び大絶滅が起こり、海洋ではアンモナイトの多くの種が、そして陸上ではキノドン類、ディキノドン類といった単弓類の大半の種が絶滅しました。一方で恐竜類は生き残り、繁栄していくこととなります。

 その原因は、現在カナダのケベック州にあるマニコーガンクレーターとして痕跡をとどめています。そうです、隕石が衝突したのでした。また、いくつかのクレーターが同じ時期に形成されたと考えられ、衝突した隕石は1つではないと推測されています。また、当時の火山活動の影響も指摘されています。

○三畳紀の大陸


 大陸の動きについては、冒頭で説明した通りでございます。ちなみにパンゲアの中央は、ペルム期の時代に既に砂漠が多かったようですが、引き続き三畳紀でもその傾向が続いております。



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