第五話 公道を行く

○初めての公道


浜松市街(浜松城より) 撮影:裏辺金好
 ついに、原付に乗車して公道を走る場面にでくわしてしまった・・・。

 この話から読みはじめた方には、なんのことだかよくわからないだろうから、第三話を読んで頂きたい・・・。


 面倒臭い方のために簡単に説明しておくと、「原付にのるのが苦手で、自動車免許をとって以来全然のっていなかったのに、友人と遊ぶ際にのらざるを得なくなってしまった」ということである。


 困った困ったと思いつつも乗車・・・。苦手といってもバランスがとれないとか、曲がれないとかそういったことはないので、運転ができないわけではない・・・。しかし、公道を走るのは初めて(家の前の路地くらいは走ったが)だったりする。


 とりあえず、目的地を決めて出発。私が前を進むことになった。後ろについていくと置いていかれてしまう危険性があったからだ。


 家の前の狭い路地を抜け広い道へ。ウインカーの取扱いにもなれていないので、ウインカーをだすのも、手間に感じていた。


 大通りにでたが、平日の昼間ということで車通りはほとんどなく快調にすすむ。さて・・・、問題は右折だ・・・。原付は左側を走行しなくてはならないので、二車線のこの道では、追い越し車線に車線変更し、さらに右折車線にはいらねばならない。


 そうこう考えているうちに右折ポイントが迫る。


 なぜかこういときに限って追い越し車線に車が(といっても随分距離があったが)・・・。うまく車線変更できるだろうか・・・。自分の技量がよくわからない・・・。私が躊躇していると、しびれをきらしたのか友人はさっさと車線変更をしてしまい、私を追い越していく。

「マズイ」
 追い越し車線の後方には車が見えた(十分距離はあった)が、思い切って車線変更し、そのまま右折ラインに突入する。自分ではよく頑張ったなという気になった。


 結局、そこから以後は友人が先導していくという形をとった。車線変更も友人にあわせてやればいいので簡単である。また、乗りなれていないということで、車の横をすりぬけていくのは、極力行なわないようにしていた。尤も、十分余裕がある場合は別だが・・・。


 途中で工事中の道路に遭遇。片側通行の為、旗振りの指示に従うのだが、原付の運転で精一杯な私は友人のあとについて進入していった。旗振りの人の旗の振り方が何を意味しているのか考えようともしなかった、ただ、目視しただけ・・・おそらく進んでよしだったと思うのだが・・・。


 そんなこんなで目的地に到着。バイクのスタンドをセットして、店にはいるのだが、スタンドをかけるのも一苦労だった。しかも、店をでて移動するとき、鍵をさしたものの、鍵をまわしていなくて(鍵をさして、起動のとこまでひねらないといけない)エンジンがかからないという失態をおかしてしまった。


 だがこのときは幸運にも、バッテリーが充電されたらしく、スタートボタンを押すだけでかかるようになっていた(このへんのくだりも第三話参照。簡単に説明すると、バッテリーがあがっていて、キックでないとエンジンがかからなくなってしまったのだ・・・)。


 その後、友人と遊びまわり、夕闇が周囲を覆いはじめた。


 そろそろ帰ろうかという話になったのだが・・・


 再びピンチが訪れた・・・。


棒