第十話 カテゴリーF

 かつて機動新世紀ガンダムXというアニメがあった。私は途中途中しかみていなかったのだが(学校の為。ビデオにとるほど熱心ではなかった)、まあ、ガンダムXやガンダムダブルX、ガンダムヴァサーゴ(こいつは、マスターガンダムやガンダムデスサイズに通じる悪役テイストがあるガンダム)は好きなのだが、話によると打ち切り最終回だったという。

 結局、Xに興味を持ったのは、『スーパーロボット大戦α外伝』にガンダムXが登場してからである。ガンダムXの悪役にフロスト兄弟というキャラクターがいる。兄弟で悪役ガンダムに乗っている。Gガンダム以降、悪役もガンダムに乗るようになったような気がする(Ζガンダムのときにもガンダムマークツー・ティターンズ仕様という悪役ガンダムはいたが)。

 あんなのガンダムじゃないとGガンダムに悪態をつく人々がいるが、その後のガンダムに機動武闘伝Gガンダムは多大な貢献をしているといえよう。話がそれたが、このフロスト兄弟、ニュータイプの適性試験におちて「カテゴリーF」の烙印をおされてしまうのである(確かそうでしたよね!?)。なんか、ガンダム知っている人にしか通じない話だが、裏辺研究所さんには「ガンダム」コンテンツがあるので、よくわからない方には、そちらを見てもらうことにしよう(無責任) 
 *注:11月28日より再開の予定ですが、Gガンダム、ガンダムXにはまだ手が回っていません。ご了承下さいby所長


 十一月になった。そろそろ年賀状の季節・・・。実は去年も大学生でありながら年賀状配達のバイトをやった。そして、「経験者」ということで今度は郵便局からバイトの斡旋の電話がきたのだ。去年は高校生優先ということで最初はバイトを応募したのだが蹴られてしまった。だが、予定していた高校生が突然キャンセルして、今から高校生を雇うことはできない(学校でバイトの許可などの諸手続きが必要なため)ので、大学生の私に話がまわってきたのだ。


 とりあえず給与の相談等をしたいので郵便局へきてくれというので、さっそく郵便局へ話しをしにいく。


 大学生は基本的にバイクでやることになっているのだが、二輪免許をもっていないということと、バイクでやるつもりはなかったので、去年は郵便局側の提案通り自転車でやった。しかし、今年は違う・・・。私はここからライダーになるのだ・・・。なんだか知らないが、このころ自由を求める魂の叫びが頂点に達しかけていて、バイクにのりたいという渇望も沸点に達していたのだ。郵便局のかたが


「それじゃ、去年と同じく自転車でいい?」
と聞いてきたので。
「いえ、バイクで今年はやらせてください」

 実はそのときまで知らなかったのだが、郵便局のバイクは原付ではなく75ccくらいの普通自動二輪車だったのだ・・・。だが、話をきくと原付が一台だけあるあらしい。普段は派遣社員だか、パートだかの人が使っているのだが、その人が最近入院したらしく今は誰も使っていないらしい。


 これはチャンスだ・・・。しかし・・・。


「普段原付のってるの?」
と聞かれ・・・
「い、いえ・・・」
としかいえなかった。郵便局にある原付は、スクーターのようなオートマタイプではなく、クラッチによる切り替えがついているマニュアルタイプである。のったこともないのに、この時はちょっと練習させてもらえれば乗れるだろうと思っていたのである。所詮原付だろうと・・・。


 さらにバイクに乗れないと給料が悪いのだ。応募の資料の額よりも100円程やすくなってしまうのだ。しかも、年始になると僅かながら給料がアップするのだが、自転車の場合は最初から最後まで固定だった。高校生よりもちょい高いくらいで年末年始のバイトとしては割が悪い。やはりバイクでやりたい・・・。しかし・・・。


 郵便局のかたは普段、私が原付(しかも、クラッチ付きでもない)に乗っていないと答えると、こういう話をしてくれた。なんでも以前、郵便の配達をしたいという人がきて、普段まったくクラッチ付きのバイクに乗っていないので、練習しますといったという・・・。結果、練習中に事故をおこし、結局、これなくなってしまったというのだ。「これなくなりました」と年末になっていわれても、新しい人がきてくれるかどうか・・・。練習して怪我をしたら自分も面白くないでしょうし。さらに、クラッチ付きに乗ったこともないというのも大きな減点というか、不安要素だったのだろう。


 結局、私は説得されて帰る事になった。非常に不本意だった。もし、二輪免許を持っていれば・・・こんなことには・・・。まさに、ニュータイプになりそこねた、カテゴリーFの気分だった・・・。


 バイトがはじまった。私の年賀状配達ルートは街中でなく、町のハズレだった。家と家の間隔が1キロほどあるところもあった。そこにいかなければ時間短縮ができるのだが、なぜかそういう家に限って、ほぼ毎日郵便がくる・・・。ああ・・・バイクだったらこんな道を走るのも苦にならないし楽しいだろうなあ・・・。といつも思っていた。


 免許を取った今から思えば・・・かなり無謀ではなかったか・・・。原付とはいえクラッチ付きにのれただろうか? 確かに距離が長いところを走るのには便利だが、民家が密集しているところなど、かえって面倒ではないか・・・。一回一回原付からおりてスタンドをかける。一回一回原付を発進させる(発進は慣れないと結構大変)。原付の後ろには大きなコンテナがついている。重いだろうし、バランスをとるのも大変ではないか。郵便局の人に説得されてよかったのだろう。


 だが、当時の私のバイクに対する渇望とフラストレーションは今回バイクにのれなかったばかりか、バイクで走ると楽しそうな道を配達したおかげで、益々膨らむばかりであった。


棒