皆さんは「二種免許」を御存知だろうか?
滑舌があまりよろしくない私が発声すると「医師免許」と聞き間違えられてしまうが、医師免許とは全く違う免許である。
正式には「第二種運転免許」といい、バスやタクシーといった、代価をもらって旅客自動車を運転する者に必要とされる免許である。「第二種免許」「二種免許」「二種」と略されることが多い。ちなみに普通車の運転免許である「普通運転免許」は「普通第一種運転免許」に該当するが「第一種」とつけずに表現することがほとんどである。
実は、私、カリウスは仕事の都合で二種免許をとることになった。原付ライダーでも散々触れているが、車の運転は正直好きではないし、得意ではない。しかし、鉄道網やバス網がイマイチな地方で生活するには車は欠かせないし、運転ができないと仕事も
限られてしまうという事実がある。好む好まざるにかかわらず車を運転しなくてはならいので、それなりに運転できるようには嫌でもな
る。そんな私が運転そのものを業(ぎょう)とする者に必要とされる二種免許をとることになってしまったのだ・・・。
そんな運転が苦手な私が普通免許よりも高度な技術を要する二種免許を取りに行くこと、友人に話したところ、
「トラックに乗るの?」
と何人かの友人に言われてしまった。
大型トラックを運転するのに必要なのは「大型免許」であって二種免許ではない。ただ、このような誤解が生まれてしまうのは車のナンバープレートの配色によるところがある。
車のナンバープレートの地の色は四種類に色分けされている。軽自動車の黄色、普通自動車の白、そして緑と黒。緑のナンバープレートがついている車はトラックやバスのような大型の車両が多いので、一見すると大型車両用のプレートのように見えるが、このプレートは「事業用自動車」用のプレートである。
「事業用自動車」は一般に「営業車」と呼ばれることが多いが、「営業車」には営業等の人が自分の足として使 う社用の「営業車」と、代価をもらって輸送をするために使われる「営業車」の二種類があり、「事業用自動車」は後者を指す。具価的にはバスやタクシー、トラック、宅配便の車や現金輸送車などである。
なので、バスやトラックであっても、輸送をすることで代価を得ないのであれば、「事業用自動車」ナンバーで ある緑ナンバーをつける必要はない。駅から離れた温泉地の旅館などで駅から旅館の往復する無料の送迎バスをだしたりするが、輸送の代価をとらないのであれば、白ナンバーの車を使って構わない。
また、緑ナンバーは運輸局の許認可をとらなくてはならず、それに伴い色々な条件が必要になってくるので、本格的に運輸事業を行うのでなければ、白ナンバーによる無料送迎を行う方が労力が節約できるのだ。
ちなみに、黒地のナンバーは軽自動車用の「事業用自動車」ナンバーである。
話を戻そう。
どうやら私の友人たちは「普通免許」が「白ナンバー」「黄色ナンバー」、「二種免許」は「緑ナンバー」を運 転するのに必要と思っていたようで、よく目にする「緑ナンバー」の車、トラックを運転するのだと連想してしまったようである。
確かにタクシーやバスの「旅客自動車」もトラック等の「貨物自動車」も緑ナンバーであるが、人の命を預かる 「旅客自動車」の運転手には求められる技能が必然的に高くなるので、「二種免許」の制度が設けられているのだ。
そうすると、先ほど触れた「無料送迎バス」のような、お客さんを乗せて白ナンバーのバスを運転する際にも二 種免許が必要になるのでないか?となるが、無料送迎は「輸送によって代価を得る」旅客事業にあたらないので、二種免許は必要ない。病気
の友人を自分の車で病院に連れて行くのに二種免許がいらないのと同じ理屈である。
余談だが、お葬式に使う霊柩車の運転には二種免許が必要だろうか?
霊柩車は地域によって車種が異なるので一概にいえないが、助手席や後部座席に乗ることができるものもあるし、バス型霊柩車といって、トランクスペースにお柩を積み十数名がバスの座席にのることができる霊柩車もある。
一見すると二種免許が必要にみえるが、霊柩車の運転に二種免許はいらない。
霊柩事業は「旅客」でなく「貨物」事業に属しているからだ。お亡くなりになった方は「旅客」ではないので、無情にも「貨物」に分類されてしまうのだ。
だからといって助手席や後部座席、はたまたバスの座席に座っている人達も貨物扱いというわけではない。霊柩車の目的は故人様を運ぶことで あって、乗り合わせた人達を「代価をもらって輸送する」旅客事業ではないので、霊柩車に一緒に乗っている人達に関しては無料送迎バスと同
じ扱いになるわけである。
霊柩車の話にふさわしい例えではないかもしれないが、ヒッチハイクをして緑ナンバーのトラックに乗せてもらうようなものなのである。 以上が「二種」の概要である。ここから「二種」取得までの道のりをお話ししていくが、原付、バイクの話はほとんどでてこない。
だが、今回、実技試験が免許センターでの「一発試験」という、希かつスリリングなモノだったので、その経験を語りたく 「外伝」ということで原付ライダーにねじ込ませてもらった。