2.北京の中国鉄道博物館

 ここで御紹介するのは、2002年11月2日にオープンした、中国初の国立鉄道博物館です。
 アジア最大の鉄道博物館で、最終的には100両ほどを展示する予定だとか。開業から120年以上となる中国の鉄道車両や資料を一堂に展示するのが目的で、各地で補完されていた貴重な物が、ここに集結しております。・・・ちなみに日本では、JR東日本が2007年の開業を目指して、埼玉県さいたま市に鉄道博物館を建設中。図らずも日中両国で鉄道を文化財として整備し、一般に公開する意識が芽生えてきたと言ったところでしょうか。
 さて、この中国鉄道博物館。
 北京市郊外の中国鉄道科学研究院環鉄試験基地(環状実験基地)に隣接した場所にあります。交通手段は北京駅から403路バスに乗り、終点の「環行鉄道」で下車して徒歩(所用約1時間)、もしくはタクシーを使うことになります。休館日は月曜日なので要注意。ちなみにムスタファさん曰く、「予想通りタクシードライバーも全く場所を知らず、電話番号を教えろというので教えると携帯で聞いておりました。郊外まで来るバスの終点から更に奥といった具合で全く僻地にあります」、とのことなので要注意。少なくともタクシーの運転手に場所を説明する用意は必要です。
 また、以前より日本人観光客の保存要望もあり、保存されていたものの、野外展示で老朽化著しかった南満州鉄道の車両達(特急あじあ号を牽引した機関車パシナなど)は、これを修復の上、合わせて瀋陽鉄道博物館を建設し、2003年8月8日にオープンしているそうです。

中国鉄道博物館外観
 手前に見える巨大な倉庫のような建物(鉄道部科研試験展示交流中心機車車輌展示庫)の中に数多くの車両達が展示。その右にうっすらと見える現代建築は資料展示館。益々充実が図られる予定。

機車車輌展示庫内部
 名称は長いので省略。数多くの往年の名機達が一同に勢揃いしておりましす。圧巻なのは、内部に柱が一本もないことと、窓が多く設けられており、明るいこと。8本の展示線が用意され、外の本線ともつながっています。将来的には、ここから車両が発車するシーンも見られるかもしれませんね。

朱徳号(左)&毛沢東号(右)
 この展示施設の目玉的存在。

解放(JF1)型 304号機 毛沢東号
 1941年 日本製の蒸気機関車。もと満鉄ミカイ形で1946年10月にハルピン機関区にて「毛沢東号」と命名。
 あの毛沢東号は実は日本製の機関車だったとは。日本に勝利した象徴・・・と好意的に(?)解釈しておきます。なお、1977年に引退しています。

解放(JF1)型 191号機 朱徳号
 1942年 日本製。毛沢東号と同型ですが、デザインは異なっております。毛沢東号と共に、こちらには「朱徳号」として命名され、これも1977年10月に引退しています。
 ちなみに朱徳(1886〜1976年)とは、孫文の辛亥革命に参加し、のち周恩来の勧めで中国共産党に入党。八路軍総司令として抗日戦争を指揮し、国共内戦では人民解放軍総司令として共産党を勝利に導きます。
 中華人民共和国成立(1949年)後は、国防委員会副主任、党副主席、全国人民代表大会常務委員会委員長などを歴任し、90歳で亡くなった人物です。

解放(JF)型 2121号機
 1952年 中国製解放型の第1号蒸気機関車。455両が製造され、この第1号は1986年に引退しました。

GW 97336 周恩来専用客車リビング
 1936年、日本製(満鉄大連工廠)の客車を周恩来専用に改装した物です。広々としていい感じです。もっとも、周恩来は休む暇が殆ど無かったと思いますが・・・。

GW 97336 周恩来専用客車浴室

人民(RM)型 1001号機
 1958年、中国製。人民型の1号機。

解放(JF6)型 3022号機
 1933年 日本製の蒸気機関車。もと満鉄ミカロ形。軽量貨物用。
 展示車両紹介は、まだまだ続きます。次のページへGO!