市町村合併
担当:裏辺金好
今回は、日本全国で問題・争点となっている「市町村合併」について考えていきたいと思います。人ごとじゃないですよ、日本のほとんどの地域で合併話が出ています。少々ややこしい問題ですが、何のメリットとデメリットがあるのかぐらいは知っておいた方が良いでしょう。また、新しく誕生する市町村の名前についても考察しました。
なぜ、現在市町村合併論議が盛んなのでしょうか。それは必要性があるからで、総務省は、次のように説明しています。
《地方分権の推進》
地方分権は、住民に身近な行政の権限をできる限り地方自治体に移し、地域の創意工夫による行政運営を推進できるようにするための取組です。これを円滑に進めるためには、地方自治体にも行財政基盤を強化するための努力が求められています。
(所長注:また、田舎の小さな自治体では、地元の有力者が政治を取り仕切ってしまうことが多く、彼らに過大な権限を与えるのは好ましくありません)
《高齢化への対応》
今後、各地域で高齢化が一層進展し、高齢者への福祉サービスがますます大きな課題となってきます。とりわけ高齢化の著しい市町村については、財政的な負担や高齢者を支えるマンパワーの確保が心配されています。
《多様化する住民ニーズへの対応》
住民の価値観の多様化、技術革新の進展などにともない、住民が求めるサービスも多様化し、高度化しています。これに対応するため、専門的・高度な能力を有する職員の育成・確保が求められています。
(所長注:例えば、人口5000人の町に「女性問題課」「NPO課」など、いくつも時代に合わせた専門部局を設置させるのは、財政の面で不可能です)
《生活圏の広域化への対応》
交通網の発達などにより日常の生活圏が拡大し、これに伴い行政も広域的に対応する必要があります。また、都市近郊では市町村の区域を越えて市街地が連続しており、より広い観点から一体的なまちづくりを進めることが求められています。
(所長注:極端な例で言うならば
「家は呉市にあり、税金は呉市に払っているが、勤務先の広島市で、大部分の時間生活している」
つまり、広島市で水道を使い、道路の上にタバコを捨てたり、車を乗り回したりしているのに、税金は夜に寝るだけの呉市に支払われている。ならば、合併してしまえば、無駄がなくなる、というわけです。なお、両市に合併話はありません)
《効率性の向上》
危機的な財政状況にあるなかで、より効率的な行政運営が求められています。とりわけ、隣接市町村での類似施設の建設には批判があります。
(所長注:その他、職員や議員といった人員の削減も可能になります。議員を減らすと、民意が反映されないと言いますが、どうせ繁栄されていないのですから、議員なんて、減らしたって大丈夫)
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てなわけで、簡単に言ってしまうと、「お金」の問題です。
ところで、総務省の説明を鵜呑みにすると「そうか、市町村合併は必要なのか」と思われるかも知れません。まあ、必要であるのは確かで、実際に現在3000超もある市町村の数は無駄が多く、減らす必要があります。また、総務省の言う通り、時代のニーズに応えるために小さすぎる自治体は、もはや歓迎すべき存在ではありません。
しかし、地域の特性によれば、また民間委託やNPOの利用、隣接自治体との連携強化(広域行政)など、合併に頼らずともやっていける部分もあります。むしろ、独自路線を取ることで、新しくできる市町村の中に埋没しない手段をとった方がいい場合もたくさんあります。
市町村合併を行えば、(総務省は否定していますが)、地域の特性が失われ、また地域に応じたきめ細かい住民サービスは、なかなか難しくなります。さらに、水道料金を始めとする公共料金は、市によって異なるため、合併相手次第では、相手にあわせたり、足して2で割ったりして、結果的に高くなることもあります。合併は、よく考えてから行うべきです。
また、住民が望んで合併を行わない地域では、市民としての自覚が失われたり、田舎では地域で対立が起こったり、住んでいた地域の名前が消えるなどのデメリットもあります。
なお、総務省HPの中の、市町村合併に関する部分http://www.soumu.go.jp/gapei/index.htmlで、詳しいメリットについてで紹介しています。一応正しいことではあります。ただし、同省のHPにある合併のデメリットについては、ずいぶんいい加減なものです。色々ありますが、皆さんで解決してくださいだってさ!!
一方メリットを始め各種データをこれでもか!と総務省は掲載しています。よほど、合併を進めたいように見えます。合併して市町村数が減った方が、大局的に見れば地方交付税が削減できたり、管理しやすくなるからでしょう。
というわけで、様々な問題を抱えつつも、市町村合併は時代の流れであることは、認識して頂けたと思います。が、それにしても合併話が多い。それは、期限付きで優遇措置が取られているからです。さらにいえば、今後は地方交付税が削減され、小さな自治体は合併しないと財政がさらに危険になると言う、国からのアメとムチが関係しているのです。
これを端的に表す法律が「市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)」(昭和40年法律第6号)」です。この法律は平成17年3月31日までの時限立法です。そして、この中で、
市となるべき要件の特例が設けられていて、
平成16年3月31日までに合併するなら、市制施行のための要件を、人口3万以上
に
平成16年4月1日から平成17年3月31日までに、合併するなら市制施行のための人口に関する要件は、4万以上とされます。通常は5万人。
その他、旧市の議員は一時的に定員を増やすことで一定期間、新市の議員として活動できる(詳しくは書きません)。
合併しても10年間は、合併しなければもらえるはずだった地方交付税を削減しない。その後は段階的に減らし、適正な額にする。などなど色々・・。
そのため、各市町村は「どうせ合併するなら、今のうちにやってしまおう」、そう考えているのです。
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