○鉄道の登場
また、これに合わせて蒸気を使った鉄道が登場します。既に、レールを使って物を運ぶというのは、古代ギリシャ人も神殿周辺の道に溝を掘って、そこに荷車の車輪を載せて動かしたり。18世紀には鉄道馬車というのも登場していました。すなわち、馬に車両を引かせる、という物。さらにレールも初期は木製でしたが、次第に鉄製に変わります。
最初に鉄製のレールを造られたのは1767年のことで、イギリスのレーノルズという鋳物工場経営者によるもの。
そして1804年。
イギリスのリチャード・トレビシックが蒸気で動く機関車、蒸気機関車(SL=エスエル Steam Locomotive)の開発に成功します。さらに1825年、ジョージ・スティーブンソン(1781〜1848年)らによる「ロコモーション号」によって蒸気機関車のメカニズムが完成され、ストックトン〜ダーリントン間で世界初の鉄道輸送を開始します。
さらにジョージ・スチーブンソンの息子、ロバート・スチーブンソン(1803〜59年)も蒸気機関車の開発に加わって、1830年9月15日には、産業革命の中心であったリヴァプールとマンチェスターの間に「ロケット号」を使用した世界初の旅客用の列車が運行されるようになり、多数の人と貨物を輸送することが可能になります(代わりに運河は縮小しちゃいます)。また、スティーブンソンはこれ以後、数多くの鉄道建設を手がけます。
パッフィング・ビリー号 ウィリアム・ヘドリーが1814年に開発した蒸気機関車 ロケット号 1829年に開発された蒸気機関車で、1830年9月15日に開業したリバプール・アンド・マンチェスター鉄道(世界初の旅客鉄道)で使用されました。幾らか改修は受けていますが、オリジナルがロンドンのサイエンス・ミュージアムで保存されています。 ロケット号 (レプリカ) イギリスのヨークにあるイギリス国立鉄道博物館で展示されているもので、リバプール・アンド・マンチェスター鉄道開業時の雰囲気を味わうのであればこちら。 ちなみに、リバプール・アンド・マンチェスター鉄道の開業日にさっそく人身事故が発生します。 パークサイド駅において、地元選出の議員でウェリントン内閣で閣僚を務め、その後仲違いで辞任したハスキソン氏が、そのウェリントン首相に儀礼的に挨拶(あいさつ)にでかけたんですね。ところが、車内で挨拶をすればいい物を、わざわざ線路側に出て挨拶しよう・・・としたところ、反対側からも蒸気機関車がやってきて、挟まれて(はねられて)死亡したということです。 スピードも速くないし、さっさと逃げればいいじゃないかと思うのですが、如何せん「最初」ですから、反対側から蒸気機関車がやってきて、まさかこんな事態になるとは思わなかったのでしょう。運転する方も、急停車・・・なんて気が回らなかったんだと思います。 そんな災難もありましたが、ヨーロッパ各国・・・さらには日本などでも急速に鉄道網が整備されていきますが、各国それぞれが独自技術で蒸気機関車を開発したり、または各国それぞれの良いところ取りで新型を開発したり・・・と様々な技術が競い合うことになるのです。 なお、日本で鉄道(蒸気機関車)が走るようになったのは、1872(明治5)年のことで、イギリスから直輸入(新橋〜横浜)。また、メイド・インジャパン・国産1号の蒸気機関車は、あのリチャード・トレビシックの孫(リチャード・フランシス・トレビシック)の技術指導による物で、官鉄神戸工場にて完成しています。 ○自動車のはじまりさて、鉄道の始まりについて見てきましたが、今度は自動車について見ていきましょう。自動車は、蒸気機関が出来てから色々な人が研究してきたのですが、曲がりなりにも形になったのは、1770年に、フランスの技術者ニコラ・ジョゼフ・キュニョーが考案した蒸気自動車。大きな三輪車のような形で、これは大砲を運ぶために開発しました。また、先ほどのワットも1781年に蒸気自動車も発明しています。 初めて人を乗せられる自動車が出来たのは1801年。 イギリスの発明家リチャード・トレビシックによって誕生し・・・そう、なんと蒸気機関車と同じ人物が作製し、街中でのテスト走行に成功します。そして、1830年のイギリスでは乗合バスまで運転されるようになるんですね。ところが翌年、車は道路から出て行けと規制されてしまい、自動車は以前から研究が盛んだったアメリカ、フランス、ドイツなどで発達していきます。
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