クラス159「サウス・ウェスタン・ターボ」 

British Rail Class 159 'South Western Turbo'


サウス・ウェスト・トレインズ(SWT)のクラス159/1。ラッシュ時には最大3編成併結して9両で運転する。
(撮影:ベリーランズ駅, Berrylands Station)

●基本データ

デビュー年 1993年
最高速度 145km/h
製造会社 イギリス国鉄鉄道工学部門ダービー工場(BREL Derby)
運行会社 サウス・ウェスト・トレインズ(South West Trains, SWT
運行区間 ウェスト・オブ・イングランド線(West of England Line)
●ロンドン・ウォータールー(London Waterloo)〜ソールズベリー(Salisbury)
●ロンドン・ウォータールー〜ブリストル・テンプル・ミーズ(Bristol Temple Meads
●ロンドン・ウォータールー〜エクセター・セント・デイヴィッズ(Exeter St Davids)
編成詳細

クラス159/0 3連x22本
クラス159/1 3連x8本

クラス159/1はクラス158/0から改造


●ウェスト・オブ・イングランド線の主役

 イギリス国鉄が導入した「スプリンター・ファミリー」の末っ子であるクラス158から改造され誕生。老朽化した第一世代気動車を置き換えた第二世代気動車であり、他にもクラス150、153、155と156が存在する。スプリンターの中でも最高速度が高く、イングランド南西部で運用されているため「サウス・ウェスタン・ターボ」の愛称がついている。

導入背景と運用の歴史
 1980年代後半にはイギリス国鉄のロンドン近郊とイングランド南東の路線網を管轄下に置く「ネットワーク・サウスイースト」(Network SouthEast, NSE)が運営するロンドン・ウォータールー〜ソールズベリー、ブリストル、エクセター間(ウェスト・オブ・イングランド線)の長距離列車はクラス50ディーゼル機関車牽引のマーク2客車が担当していた。この路線は頻繁に駅に停車するために加減速が遅い客車方式には適任ではなく、クラス50に過度な負荷がかかり故障が頻発。長い単線区間も存在したため、一つの列車が路線を通行止めにする事も少なくなかった。この状態を改善するために路線の電化や短編成化したHSTの導入、クラス165の都市間輸送版も検討されたが、最終的には新しい気動車を投入する事が可決された。

 1990年初頭、イギリス国鉄の地方路線の運行を管理していたリージョナル・レイルウェイズ(Regional Railways)がクラス158を過剰発注したのを機会に、NSEが3連x22編成を譲り受けた。しかし一等席が2+2列配置だったことなど内装がNSEの希望していたものとは異なっていたため、
長距離輸送用に改造された。一等席の2+1列化
やタンク式トイレなどの設置が施され、クラス159に改名。1996年にはNSEを含むイギリス国鉄の民営化時にイングランド南西部の鉄道はサウス・ウェスト・トレインズ(SWT)の管轄となり、クラス159も同社が譲り受けた。活躍の場は今でも変わらず、ロンドン〜ウォータールー〜ソールズベリー間は6連か9連で運行し、ソールズベリーで一編成切り離しエクセターへ向かうという運行体系を取っている。

 2007年にはファースト・トランスペナイン・エクスプレスから余剰になったクラス158を3連x8本譲り受け改造。これらをクラス159/1と呼び、既存の22編成はクラス159/0に改称された。2015年から2016年にかけてラフバラに位置するワブテック社(Wabtec Ltd)でリニューアル工事が行われ、モケットの交換、内装の塗装の一新と外装のマイナーチェンジが施された。

(解説・撮影:秩父路号、2016年3月更新)

●ギャラリー


SWTのクラス159/0。元々クラス159として新造され、159/1とは異なり非常用の開閉式窓が各両片側に4つ備わっている。
(撮影:ウィンブルドン駅付近、Wimbledon Station)


一等席の様子。半室の2+1列配置のテーブル付きクロスシート。


普通席は2+2列配置。

コーニッシュ・リビエラとも呼ばれるドーリッシュの沿岸付近を走るクラス159/0。
(撮影:ドーリッシュ・ウォレン駅付近, Dawlish Warren Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Southern E-Group: Class 159

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