クラス334「ジューニパー」 

British Rail Class 334 'Juniper'


旧ストラスクライド地区交通局(SPT)塗装のファースト・スコットレイル所属のクラス334。この塗装の編成は現存せずスコットランド国旗塗装に更新された。
(撮影:カーンタイン駅, Carntyne Station)

●基本データ

デビュー年 2001年
最高速度 145km/h
製造会社 アルストム(Alstom)
運行会社 アベリオ・スコットレイル(Abellio ScotRail, ASR)
運行区間 グラスゴー近郊路線
アーガイル線(Argyle Line)
●ダルムイア(Dalmuir)〜グラスゴー・セントラル地下ホーム(Glasgow Central Low Level)〜ラナーク(Lanark)
●ダルムイア〜グラスゴー・セントラル地下ホーム〜ラーカル(Larkhall)
●ダルムイア〜グラスゴー・クイーン・ストリート(Glasgow Queen Street)〜カンバーノールド(Cumbernauld)

ノース・クライド線(North Clyde Line)
●ヘレンズバラ・セントラル(Helensburgh Central)、バロック(Balloch)、マルゴイ(Milngavie)〜グラスゴー・クイーン・ストリート〜エアドリー(Airdrie)〜エジンバラ・ウェイバリー(Edinburgh Waverley)
編成詳細

クラス334 3連x40本


●スコットランド向けのジューニパー・シリーズ

  スコットランドのグラスゴー近郊路線用にアルストムが製造した新型車両。多扉式の旧型車両の置き換えのために導入されたが、運用開始時の車両故障で苦悩した。アルストムのイギリス市場向け電車の「コラディア・ジューニパー(Coradia Juniper)」シリーズの一員で他にはクラス458やクラス460が存在する。

 同形式は1960年代から使用され続けられていたクラス303電車の置き換え用としてグラスゴー近郊の交通網を管轄下に置くストラスクライド地区交通局(Strathclyde Partnership for Transport, SPT)が3連x38本を発注。1999年から当時の列車運行会社であったスコットレイル(ScotRail)が納入したが、試験走行で多発する車両故障の対応に時間がかかり、デビューは2001年まで延期された。

 営業運転に入ってからも問題は解決されず、2001年から2002年の間は運転手と共にアルストムの技術者が同乗しないとまともな運行ができないほど信頼性は低かった。特に問題箇所だったのがワンマン運転時に乗客の昇降状況を確認するために必要だった車両側面に設置されていた車外カメラ。結露がひどく外の様子が全く見えないこともよくあり、運行の妨げとなった。導入から時間が経つにつれて信頼性は徐々に向上したが、アルストムは賠償として2編成を無償で製造し、合計製造編成数は40本に増えた。初期不良が頻発するのはクラス334に限ったことではなく同じアルストムのジューニパー・シリーズであるクラス458にも見られる。

 導入当初はグラスゴー近郊のノース・クライド線、アーガイル線、そしてにグラスゴーから西に延びるエアシャー海岸線(Ayrshire Coast Line)とインヴァークライド線(Inverclyde Line)で運用。2004年には運行会社の変更と共にファースト・スコットレイル(First ScotRail)が継承し、引き続き同路線で運用。2011年6月からはクラス380の導入によりエアシャー海岸線とインヴァークライド線からは撤退し、ノース・クライド線とアーガイル線を活躍の場としている。

 2010年11月からはスコットランドの車両の塗装統一の一環で従来のSPT塗装からスコットランド国旗をモチーフにした塗装への更新が始まった。更に2011年11月からは同形式の大規模リニューアル工事が始まり、3年間かけて全車両がアップグレードされた。主な内容としては3+2列配置だった座席をより幅の広い2+2列配置に広げ、モケットのデザインをスコットランド国旗をモチーフに更新。やや暗かった室内照明も取り換えられ内装はより明るい雰囲気になった。

 2015年4月から再び運行会社の変更に伴いファースト・スコットレイルからアベリオ・スコットレイル(Abellio ScotRail, ASR)に転属。同年から内装のリニューアル工事を再び受けることが決定し、今回は空調とwi-fi設備の新設、座席のコンセントの新設、ドアの信頼性向上とワンマン運転時の車外カメラ設備の更新が主な内容となる。

(解説・撮影:秩父路号、2016年1月更新)

●ギャラリー


2011年のリニューアル工事以前の普通席。3+2列配置で車端部の座席は赤いモケットが採用された。


同じく2011年のリニューアル工事以前の普通席。車両中央は青緑ベースのモケットが使用されていた。


交通バリアフリー法に適合するために新設された車イス対応トイレ。

3両編成の中間車はパンタグラフが設置。車イス対応トイレの部分は窓が塞がれている。

ラッシュ時には2編成を組んで6両編成で運行される。
(撮影:パーティック駅, Partick Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Rail.co.uk: ScotRail Class 334 trains get £34m refurbishment and power points fitted after 13 years of service
Wikipedia: British Rail Class 334

↑ PAGE TOP