クラス166「ネットワーカー・エクスプレス・ターボ」
British Rail Class 166 'Networker Express Turbo'
深緑をベースカラーとしたグレート・ウェスタン・鉄道(GWR)塗装に更新されたクラス166。
(撮影:ドーキング・ウェスト駅付近、Dorking West Station)
●基本データ
デビュー年 | 1992年 |
最高速度 | 145km/h |
製造会社 | イギリス国鉄鉄道工学部門ヨーク工場(BREL York) |
運行会社 | グレート・ウェスタン鉄道(Great Western Railway, GWR) |
運行区間 | グレート・ウェスタン本線(Great Western Main Line) ●ロンドン・パディントン(London Paddington)〜オクスフォード(Oxford)〜ウスター・フォアゲート・ストリート(Worcester Foregate Street)〜ヘレフォード(Hereford) ●ロンドン・パディントン〜オクスフォード〜バンベリー(Banbury) ●ロンドン・パディントン〜スラウ(Slough)〜レディング(Reading)〜ニューベリー(Newbury)〜ベドウィン(Bedwyn) その他地方路線 ●レディング〜ベイジングストーク(Basingstoke) ●レディング〜ギルドフォード(Guildford)〜レッドヒル(Redhill)〜ガトウィック空港(Gatwick Airport) |
編成詳細 |
クラス166 3連x21本 |
●グレート・ウェスタン本線の中距離快速用ディーゼル列車
導入背景と仕様
こちらに掲載しているようにクラス165はグレート・ウェスタン本線を含む非電化幹線の老朽化した旧型気動車と客車列車の置き換え用に製造された。同系列はその中距離・快速列車用に製造されたマイナーチェンジ版である。クラス165と比べて同系列は空調完備されており開閉式窓が少ない、一等席のテーブル、中間車の荷物・自転車置き場などの相違点が挙げられ、中距離車両の色が強い。
元々ロンドン近郊とイングランド南東の路線を担当していた英国鉄支部、ネットワーク・サウスイースト(Network SouthEast、NSE)は3連x15本を発注していたが、1991年にコッツウォルズ線が同社の管轄に加わったため発注編成を21本に増やした。クラス165と同様に当時では珍しいワンマン運転用に設計された車両で、車掌の乗車が必要な場合、編成後方の運転室からドア操作を行う(イギリスでは車掌のドア操作は普段ドア隣のパネルから行う)。
運用の歴史と現在
導入当初はクラス117、119、そして121を置き換える形でグレート・ウェスタン本線の快速列車に就く。これらはHSTの特急列車を補佐する形でロンドン・パディントンからレディング、ニューベリー行だけでなく、オックスフォード、更にそこから延伸してウスターやヘレフォードへの列車も担当した。
国鉄民営化時にはグレート・ウェスタン本線の快速・普通列車を担う事になったテムズ・トレインズ社(Thames Trains)に譲渡され、塗装も同社のものに変更。2004年4月にはファースト・グレート・ウェスタン・リンク(First Great Western Link)がクラス166を受け継ぎ、2006年のファースト・グレート・ウェスタン(First Great Western)とのフランチャイズ統合により同社のネオン塗装に更新された。同時期には運転室の空調設備用機器が車両前面右下に新設。2010年には内装の大幅リニューアルが行われた。
2014年末には同系列の小規模リニューアル工事が施工され、ヘッドライトがLED式のものに交換、ヘッドライト隣のマーカーライトの撤廃、トイレやドア開閉ボタンの更新などが行われた。2015年9月からはファースト・グレート・ウェスタンが社名をグレート・ウェスタン鉄道(GWR)に変更。これに伴い、現在クラス166は深緑を基調とした新塗装に更新中である。これを見越して上記の小規模リニューアル時には7編成が塗装更新が容易なように藍色とピンクのツートンカラーで出場した。
近年控える本線電化、将来の運用
2017年にはグレート・ウェスタン本線のロンドン近郊区間の電化が控えており、それに伴いロンドン・パディントンを起点とする近郊・通勤列車はクラス387と365電車に任される。置き換えられたクラス166はクラス165/1と共にグレート・ウェスタン本線西部へ移され、現在クラス150や153などが担当するカーディフとブリストル近郊路線、エクセター・セント・デイヴィッズ(Exeter St Davids)〜ペンザンス(Penzance)間等に充当される予定だ。
(解説・撮影:秩父路号、2016年3月更新)
●ギャラリー
GWR塗装への塗り替えを考慮してツートンカラーで出場したクラス166。後方にはクラス165/1が併結。
(撮影:ハンウェル駅, Hanwell Station)
ファースト・グレート・ウェスタンのネオン塗装のGWR所属編成。
(撮影:ハンウェル駅, Hanwell Station)
更新前のファースト・グレート・ウェスタン塗装のGWR所属編成。ヘッドライト隣のマーカーライトがまだ健在で、ヘッドライト自体もLED式ではなく白熱灯である。
(撮影:ウェスト・イーリング駅, West Ealing Station)
普通席はほとんどが3+2列配置の高密度仕様。
先頭車の運転席寄り車端部の座席。一等席用に2+2列配置だが現在は普通席として開放されている。
自転車や大型荷物を置くスペースも設置されている。 |
中間車の一部は2+2列配置の座席とセミクロスシート。 |
車イス対応トイレと駐機スペース。
南イングランドの地方路線を走行するクラス166。
(撮影:ドーキング・ウェスト駅付近、Dorking West Station)
●参考文献・ウェブページ
・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2・Network SouthEast Years: Thames Trains
・Angel Trains: Class 166
・Newsgroup Archive: 'Boxes' on class 165/166 units