イノトランス2012〜電車・気動車編〜
近年は原油価格高騰のためにシェアを拡大しつつある鉄道。そのニーズに答えるため、車両製造会社は今回も最新の技術を詰めた車両達を売り込みにきました。
上写真は、ポーランドのPESA社のリンク(Link)。2012年に初編成が落成した地方幹線・一般型ディーゼル車両です。ずいぶん奇抜でイカついデザインは同じPESAのガンマ機関車と共通しています。連接台車を採用し、一編成2連となっており、現在チェコ国鉄、ポーランド国鉄が運用しています。
写真の編成はドイツのバイエルン州のオーバーファルツバーン(Oberpfalzbahn)の塗装です。ドイツ鉄道とも契約があり、近い将来ドイツでリンクを見かけるのは容易になることでしょう。
スペインのタルゴ社(Talgo)の高速列車の最新進化系、タルゴ・アヴリル(Talgo AVRIL)です。最高速度380km/hを目指しているコンセプト車で、両端に機関車+客車12両の動力集中方式を採用しています。
タルゴが製造する車両の特徴といえばこの連接一軸台車。
軸重を抑えるため、中間車の車両長は13メートルに抑えられています。
シーメンスのインスピロ(Inspiro)。シーメンスが開発した最新の地下鉄用車両であり、標準軌、最高速度90km/h、750V DC第三軌条対応というスペックです。6連x35編成がポーランドのワルシャワ・メトロ用に発注され、製造は現地のネヴァグ社と共同で行われ2012年12月より運用開始されています。
ボンバルディア社のV300ゼフィロ(Zefiro)のモックアップ。ボンバルディアがアンサルド・ブレダと共同開発したイタリア用の最新型高速列車で、最高営業速度360km/hを目指しています。8連x50編成がトレニタリアにより発注され、初編成が2013年3月に落成しています。今年から試験走行を始め、2014年夏には営業運転を開始する予定ですが、のんびりイタリア人の事なのでどうなることやら・・・
スイスのシュタドラー社(Stadler)のFLIRTシリーズのレオ・エクスプレス仕様(LEO Express)です。FLIRTシリーズはシュタドラーの看板列車ともいえる一般型電車で、色々と仕様変更できるカスタマイズ性と近未来的なデザインが好評で、ヨーロッパ中の国々で導入されています。一方レオ・エクスプレスはチェコのプラハ〜オストラヴァ間の特急列車を運行している鉄道会社です。
オマケとしてミラノ中央駅に停車中のETR524型、FLIRTのイタリア・スイス対応版です。
チェコのシュコダ社(Skoda)の7Ev型、通称レギオパンサー(RegioPanther)。2011年に製造開始された近郊・一般型電車で、最高速度は160km/hです。チェコ国鉄が運用しているレギオパンサーは直流用3連の440型、交直両用3連の640型、交直両用2連の650型の3種類存在します。写真の編成は640型のものです。
スロヴァキアのZOS Vrutky社の861型気動車。スロヴァキア国鉄のZSSKが12編成運用しており、プレショウ、コシツェ地方で走っています。最高速度は140km/hで、部分低床車となっています。
ポーランドのネヴァグ社(Newag)の35WE型電車、通称インパルス(Impuls)。ネヴァグが開発した新規の160km/h、直流対応一般型電車で、現在ワルシャワの近郊路線で運用されています。35WE型は連接台車式の6連ですが、4連に短縮された31WE型も存在します。
インパルスの運転席付近の座席。
シーメンスのデジロ(Desiro RUS)。この車両は一般型電車のデジロ・シリーズのロシア仕様で、ラストッチュカ(ツバメの意)が愛称です。ロシア国鉄のRZDが38編成発注していて、18編成が2013年1月より運用開始しています。ロシアの鉄道は広軌なのでそれに合わせてゲージを1520mmにしているため、展示するために特別な台車に乗せられました。ソチで開催される2014年冬季オリンピック・パラリンピックで近郊の会場への輸送で活躍する事を見込まれています。
シュタドラーのKISSシリーズのBLS仕様。KISSとはシュタドラーが製造している汎用型二階建電車の総称で、160km/hの通勤・近郊型や200km/hの都市間特急型など様々な種類が存在します。一方BLSはスイスのベルンを拠点とする鉄道会社で、KISSを28編成発注しベルンのSバーン(近郊列車)に2012年12月より使用しています。
シュタドラーKISSのODEG仕様。ODEGはベルリンを中心にブランデンブルグ地方の近郊列車を運行する鉄道会社で、2012年末よりKISSを使った快速列車を運行し始めました。
ODEG仕様のKISSの一階の内装。近郊用の列車らしくジャンプシートと手すりが備わっている。
アルストムのコラディア・ノルディック(Coradia Nordic)。一般型・都市間輸送列車として販売されているコラディア・シリーズですが、こちらはスウェーデンのストックホルム近郊にて使用されるもの。最高速度は160km/hで15kV AC対応となっています。イノトランスで展示されている車両の中では古株で、2005年に初編成が落成されました。
現在は6連のX60型と4連のX61型がストックホルムで活躍しています。
ボンバルディアとアルストムが共同開発した430型電車。ドイツの新型Sバーン用電車で、旧型の客車列車と電車を置き換えるために製造されました。最高速度は140km/hで、連接台車を採用しています。2012年2月よりシュツットガルトのSバーンで運行されていて、2014年よりライン・マインSバーンで運行される予定です。
ボンバルディアのスペーシアム(Spacium)。新型の通勤・近郊型電車で最高速度は140km/hで1.5kV DCと25kV ACの交直対応となっています。
2009年12月よりフランス国鉄のSNCFが運営するパリ近郊のH系統で運行されていて、パリ北駅で見かける事ができます。こちらは2013年3月にサン・ドニ駅で撮影したスペーシウムです。SNCFはZ50000型という形式を与えています。
13.24メートルの短い車体を連接台車で繋げ、車両幅を3.06mに拡大した結果、広々と開放的な車内になりました。鮮やかな彩と座席下の影に青ライトで照らしていたり、内装は洒落ています。
■ 以下、車両の種別ごとに御紹介
▲電車・気動車編 |
▲機関車編 |
▲LRT編 |
▲事業用車両・貨物車編 | ▲おまけ |