クラス313 

British Rail Class 313


サザン(SN)のクラス313/2。ウェスト・コーストウェイ線の各駅停車を担当している。
(撮影:フォード駅, Ford Station)

●基本データ

デビュー年 1976年
最高速度 120km/h
製造会社 イギリス国鉄鉄道工学部門ヨーク工場
(British Rail Engineering Limited, BREL York)
運行会社 グレート・ノーザン (Great Northern, GN)
サザン (Southern, SN
ネットワーク・レイル (Network Rail, NR
運行区間 ロンドン北部近郊路線(GN)
●ロンドン・キングズ・クロス(London King's Cross)〜ウェリン・ガーデン・シティ(Welwyn Garden City)〜レッチワース・ガーデン・シティ(Letchworth Garden City)
●ロンドン・キングズ・クロス〜ハートフォード・ノース(Hertford North)〜スティーブニッジ(Stevenage)
●ムーアゲート(Moorgate)〜ウェリン・ガーデン・シティ〜レッチワース・ガーデン・シティ
●ムーアゲート〜ハートフォード・ノース〜スティーブニッジ

ウェスト・コーストウェイ線(West Coastway Line, SN)
●ブライトン(Brighton)〜ワージング(Worthing)〜ポーツマス・ハーバー(Portsmouth Harbour)
●ブライトン〜リトルハンプトン(Littlehampton)
●ブライトン〜ボグノー・リージス(Bognor Regis)

イースト・コーストウェイ線(East Coastway Line)
●ブライトン(Brighton)〜ルイス(Lewes)〜シーフォード(Seaford)
●ブライトン〜イーストボーン(Eastbourne)
編成詳細

313/0 41本
313/1 4本
313/2 19本

編成は全て3連


●通勤電車の近代化を支えた車両

 イギリス国鉄が製造した初の第二世代電車。1970年代初頭に走行していたクラス445試験車を元に造られ、クラス421のような多扉式の第一世代電車を置き換えた。クラス445からはクラス314、315、507、508も派生しており、外観と内装が類似していて、「BREL 1972年デザイン」という総称で呼ばれている。

導入背景
 3連x64本が製造され、当初はロンドンのムーアゲートから北部郊外までの各駅停車に使用されていた。この路線のロンドン寄りは一部地下鉄用に作られた区間があり、そのためクラス313は断面が従来の列車より小柄で、第三軌条式直流750Vに対応するため台車に集電シューが備わっている。更にトンネル内での緊急時に乗客が避難できるように前面に貫通扉がある。途中のドレイトン・パーク駅(Drayton Park Station)で集電シューとパンタグラフを操作し、架線式交流25kVに切り替える。この場合、集めた電気を中間車にある変圧器と整流器に通して直流750Vに変換し、先頭車のボギーにあるモーターを駆動させている。

 元々クラス313/0の集電シューは先頭車の中間車寄りの台車にしかなかったが、ワトフォード線の第三軌条レールの間隔がムーアゲート線より開いているため23編成に先頭寄りの台車にもシューが新設された。これらの編成は1980年代半ばにはロンドン・ユーストン(London Euston)〜ワトフォード(Watford)線に移り、クラス313/1と改称された。

民営化後の動向
 イギリス国鉄民営化時にクラス313/1はシルバーリンク(Silverlink)に転属し、ワトフォード線やノース・ロンドン線、ウェスト・ロンドン線に投入された。これらの路線は2007年以来「ロンドン・オーバーグラウンド(London Overground)」という名前で
ロンドン交通局の管轄下にあり、2009年から導入されたクラス378に置き換えられてクラス313/1x19本がサザン(SN)に転属。現在はウェスト・コーストウェイ線とイースト・コーストウェイ線の各駅停車として運用されている。この際大幅な改装を受け新しい塗装とともに、クラス313/2と称されるようになった。

 元の非改造の車両ははクラス313/0となり、現在はグレート・ノーザン(GN)が運行しているが、相変わらずムーアゲート線に投入されている。クラス378の置き換え時にロンドン・オーバーグラウンドからクラス313/1x3本が
転属し、合計で44編成がGNに在籍している。クラス313/1の一編成が2013年より線路保守会社のネットワーク・レイル(NR)によってリースされており、ハートフォード路線で試験中のERTMS(ヨーロッパ鉄道信号保安システム)用の試験走行車として改造されている。

 GNが運用する編成は2017年から導入されるシーメンス製のクラス700をベースにした6両編成の派生型に置き換えられることが決定。それ以後の動向は未定だが車齢を考慮して廃車になる可能性が高い。

クラス313の仕様
 編成構成は2M1T(Mc-T-Mc)で上記の通り先頭車の台車に集電機器が備わっているが派生型によって位置が異なる。車内は全車普通席で、背もたれが低い2+3列のボックスシートが基本配置だったが、立ち席を増やすために部分的に2+2列に変更された編成も少なくはない。SN所属のクラス313/2は改装時に同社で広く見られる2+2列のボックスシートに変更された。

(解説・撮影:秩父路号、2016年4月更新)

●ギャラリー


GN所属だがファースト・キャピタル・コネクト塗装のクラス313/0。ラッシュ時は二編成が併結して運転される。
(撮影:ウェラム・グリーン駅, Welham Green Station)


GNの313/0の車内。高背もたれ座席の3+2列配置。


フォード鉄橋を渡るウェスト・コーストウェイ線のSNのクラス313/2
(撮影:フォード駅付近, Ford Station)


SRのクラス313/2の車内。導入時に2+2列配置に改造された。


ムーアゲート線を走る旧ファースト・キャピタル・コネクトのクラス313/0。ここは地下鉄用に作られた線区で、トンネルが丸く設計されている。
(撮影:ムーアゲート駅, Moorgate Station)


旧ファースト・キャピタル・コネクトの313/0の車内。高背もたれ座席の3+2列配置。


旧シルバーリンクのクラス313/1。先頭車の両台車に集電シューが備わっている。ほとんどがロンドン・オーバーグラウンドに転属した後、SNへ移りクラス313/2に改造された。
(撮影:クラッパム・ジャンクション駅, Clapham Junction Station)


シルバーリンクのクラス313/1の車内。 低背もたれ座席の3+2ボックスシート配置。

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Wikipedia: British Rail Class 313
Southern E-Group: Class 313
Southern Electric Group: Class 313s come to Southern

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