クラス315 

British Rail Class 315


ロンドン・オーバーグラウンドの正規塗装に更新されたクラス315。
(撮影:ロンドン・フィールズ駅, London Fields Station)

●基本データ

デビュー年 1980年
最高速度 120km/h
製造会社 イギリス国鉄鉄道工学部門ヨーク工場 (British Rail Engineering Limited, BREL York)
運行会社 TfLレイル(TfL Rail, XR
ロンドン・オーバーグラウンド(London Overground, LO
運行区間 シェンフィールド・メトロ線(Shenfield Metro, XR)
●ロンドン・リバプール・ストリート(London Liverpool Street)〜シェンフィールド(Shenfield)

ウェスト・アングリア近郊路線(West Anglia Suburban Lines, LO)
●ロンドン・リバプール・ストリート〜チェザント(Chesunt)
●ロンドン・リバプール・ストリート〜 チングフォード(Chingford)
●ロンドン・リバプール・ストリート〜 エンフィールド・タウン(Enfield Town)
編成詳細

クラス315 4連x61本


●ロンドン東部路線の通勤電車

 イギリス国鉄が製造した車両で、クラス313を始めとする「1972年デザイン」の最後の一員で五番目に開発された。同じシリーズのクラス314と同様、架線式交流25kV専用の車両。

国鉄と移り行く運行会社
 旧型車両置き換えのためロンドン・リヴァプール・ストリートから東に伸びるグレート・イースタン本線(Great Eastern Main Line)の各駅停車、通称シェンフィールド・メトロ線とロンドン東北に位置するウェスト・アングリア近郊路線の各駅停車に投入された。4連x61編成が製造されたが、現在でも30年前と変わらず同じ線区を走っている。

 国鉄民営化後、イングランド東部とアングリア地方の路線を運行するファースト・グレート・イースタン社(First Great Eastern)に全編成が1997年に転属し、塗装も国鉄時代のものからグレー・青・緑の波模様に変更。その次のフランチャイズはナショナル・エクスプレス社が勝ち取り、ワン(one)というブランドで列車を運行し、それに伴いクラス315は青に虹色のアクセントが入った塗装に更新。2008年からはoneがナショナル・エクスプレス・イースト・アングリア(National Express East Anglia, NXEA)に改名し、それに合わせて外見も変更。2012年2月からは運行会社が再び変わり、アベリオ・グレーター・アングリア(Abellio Greater Anglia)に転属した。

ロンドン交通局の管轄下へ
 2015年5月からはシェンフィールド・メトロ線、ウェスト・アングリア近郊線とアップミンスター支線がロンドン交通局の管轄下となり、クラス315も全編成が転属した。17本がロンドン・オーバーグラウンドによってクラス317と共同でウェスト・アングリア近郊線で運行されている。残りの44本はTfLレイル(XR)によって運行され、シェンフィールド・メトロ線を担当している。これらはロンドンを横断する新規路線、クロスレール(Crossrail)が開通するまでの穴埋めで、2017年5月からはクラス345に置き換えられる予定である。その後は将来電化予定のカーディフ近郊の路線に移るなどの話が挙がっているが、まだ決定事項ではない。

クラス315の仕様
 交流専用電車で各編成は4両、Mc-T-T-Mcという構成。全車普通車で着席数を増やすために3+2列配置。座席は新造された時の低背もたれ仕様のものが未だ仕様されているがモケットのデザインは幾度も変更された。61本のうち4本はファースト・グレート・イースタンが試験的に車両前面の改装を行った(該当編成は315804, 806, 809, 812)。これら更新車には新しくおでこにライトが新設され、テールランプとマーカーランプが統合されたりより近代的なデザインになったが内装に違いはない。

(解説・撮影:秩父路号、2016年3月更新)

●ギャラリー


4本しか存在しないクラス315の更新車。車両前面のデザインがリニューアルされたが内装の違いはない。
(撮影:ケンブリッジ・ヒース駅、Cambridge Heath Station)


LO編成の内装はクラス378でも採用されているLO標準のデザインに更新。座席は3+2列配置の低背もたれ仕様。


XR編成のクラス315。青と白のツートンカラーをまとっている。将来的にはクラス345に置き換えられる予定。
(撮影:ロムフォード駅、Romford Station)


XR編成の車内。優先席はモケットが別デザインになっている。


旧アベリオ・グレーター・アングリアのクラス315。XRへの引き渡しが間近なためロゴが消してある。
(撮影:チャドウェル・ヒース駅、Chadwell Heath Station)


旧アベリオ・グレーター・アングリアの車内。


oneとNXEAの中間塗装。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅, Pudding Mill Lane Station)


同じくoneとNXEAの中間塗装(更新車)。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅, Pudding Mill Lane Station)


NXEA時代のクラス315の車内。ピンクのアクセントは賛否両論だった。


oneの正規塗装。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅, Pudding Mill Lane Station)

旧ファースト・グレート・イースタン塗装のクラス315。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅, Pudding Mill Lane Station)


白い塗装に戻された旧oneのクラス315。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅, Pudding Mill Lane Station)


旧one時代のクラス315の車内。モケットのデザインは国鉄時代から変わっていない。

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Wikipedia: British Rail Class 315
RailUKforums: "Odd-one-out" units withing a class
Network SouthEast.net: WAGN

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