クラス357 

British Rail Class 357 'Electrostar'


エレクトロスターの初代形式のクラス357。
(撮影:レイナム駅、Rainham Station)

●基本データ

デビュー年 1999年
最高速度 160km/h
製造会社 旧アドトランツ(Adtranz)
現ボンバルディア・トランスポテーション(Bombardier Transportation)
運行会社 c2c
運行区間 ロンドン・ティルバリー・サウスエンド線(London, Tilbury & Southend Line)
●ロンドン・フェンチャーチ・ストリート(London Fenchurch Street)〜レイナム(Rainham)〜グレイズ(Grays)
●ロンドン・フェンチャーチ・ストリート〜オケンドン(Ockendon)〜サウスエンド・セントラル(Southend Central)
●ロンドン・フェンチャーチ・ストリート〜バジルドン(Basildon)〜シューベリーネス(Shoeburyness)
編成詳細

357/0 46本
357/2 11本
357/3 17本

全編成4連


●エレクトロスター・シリーズの初代形式

 クラス357はアドトランツ(後にボンバルディア・トランスポテーションに吸収合併)が開発した次世代電車、通称「エレクトロスター」シリーズの初形式である。車体やボギーの設計はエレクトロスター・ターボスターシリーズを通して共通しており、車両前面もクラス168/1から受け継いでいて同形式と瓜二つの外見を持っている。

ここから始まったロンドン近郊電車の革命
 クラス357の活躍の場はロンドンから東へ伸びてテームズ側の北岸を沿って海まで到達するロンドン・ティルバリー・サウスエンド線(London, Tilbury & Southend Line, LTS線)だ。イギリス国鉄の民営化直後にはLTS・レイル(LTS Rail)がこの路線の運行を任され旧型のクラス310と他の鉄道会社からリースされたクラス317を使用していたが、近代化と車種統一のために同社が1997年にクラス357/0を4連x44本発注した。全編成が1999年11月までに運用開始される予定だったが初期不良が頻発し、2001年にはしばらくの間運用を離脱した。この件の損害賠償として製造元のアドトランツは追加で2編成を無料でc2cに提供し、現在は46編成のクラス357/0が走っている。2000年5月にはLTS・レイルが「c2c」に改名し、同年6月にナショナル・エクスプレス(National Express)に買収されるも運行会社名は変更されなかった。

 2000年には28編成が追加発注され、クラス357/2と呼ばれる編成がその翌年から導入された。最後の旧型多扉式電車が2003年3月に運用離脱し、これによってLTS線で運行する車両は全て新型となった。クラス357/0と357/2の相違点はほとんどなく、外見も同一である。運用開始時には藍色をベースにした塗装だったが、2009年から親会社のナショナル・エクスプレスのコーポレートカラーに合わせて白を基調にした塗装となった。

輸送力増強の改造工事
 クラス357がデビューしてからLTS線の利用者は年々増加し、ラッシュ時の混雑解消のため2015年7月からは357/2を改造した357/3が登場した。既存の2+3列の座席配置では座席間の通路が非常に狭く、車内が混雑していると昇降に時間がかかっていたため、357/3では立ち席を増やすために2+2列配置に更新し通路内の手すりとつり革を新設。計17編成が改造され、主にロンドン〜グレイズやサウスエンドの各駅停車に使用されている。

クラス357の仕様
 各編成は4連で1M1T構成(Mc-T-T-Mc)。制御機器はIGBT-VVVFインバータを搭載。2007年以来全編成に回生ブレーキが搭載され、車両の電力使用量が2割ほど減った。LTS線での最高速度制限が120km/hであるため、設計最高速度である160km/hでは通常走らない。全車普通車で、座席の配置は357/0と357/2が3+2列、357/3が2+2列配置の通勤型仕様となっている。

(解説・撮影:秩父路号、2016年4月更新)

●ギャラリー


357/0と357/2の車内は3+2列配置。モケットは緑のツートンカラー。


ラッシュ時には最大3編成を繋げて12連で走る。写真は8連のクラス357/2。
(撮影:バーキング駅、Barking Station)


並ぶクラス357/0と357/2。両車種の間に外見上の違いは全くない。
(撮影:レイナム駅、Rainham Station)

全編成に車イス対応トイレも備わっている(357/0、357/2)



立ち席増加仕様に改造されたクラス357/3。
(撮影:ロンドン・フェンチャーチ・ストリート駅、London Fenchurch Street Station)


クラス357/3の車内。2+2列配置でつり革も設置。モケットも紺色をベースにしたものに更新。


混雑時の昇降が改善されるようデッキ付近の座席も撤去された。


車イス対応トイレ。

車イス用スペース。


優先席付近のドアには特別に水色のマーキングが施してある。車体側面にはc2cのロゴの他に親会社であるナショナル・エクスプレスのロゴマークも記入してある。
(撮影:バーキング駅、Barking Station)


クラス357の旧塗装。LTS・レイルからc2cへ改名した時に藍色を基調とした塗装に変更された。
(撮影:レイナム駅、Rainham Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Network SouthEast Years: LTS Rail
c2c introduces 'redesigned' Class 357/3
Wikipedia: British Rail Class 357

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